意外な一面が…『名探偵コナン』天才・コナンでも解けなかった「謎」と「痛恨のミス」
■過去のミスを悔いるコナン
このような小さなミスだけでなく、大きなミスをしてコナンがその後悩み続けた事件がある。それがコミックス7巻「月影島への招待状」から始まる、コナンが唯一犯人を自殺させてしまった痛恨のエピソード「ピアノソナタ『月光』殺人事件」だ。 月影島を訪れたコナンたちは、12年前にピアノソナタ『月光』を弾きながら焼身自殺したピアニスト、麻生圭二の謎を追うことになる。しかし調査の過程で、麻生の幼なじみたちが次々と殺害されていく。 犯人は、死んだとされていた麻生の息子・浅井成実。彼は女医になりすまし、医師という立場を利用したトリックで、復讐を遂げようとしていた。コナンは事件の真相を解き明かすものの、犯人が自ら命を絶つのを防ぐことができなかった。 後日、コナンは別の事件で服部平次に「犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は… 殺人者とかわんねーよ…」と語っている。「ピアノソナタ『月光』殺人事件」はコナンにとって信念を持つきっかけとなった節目の事件でもある。「たった一人だけ…」と語り、浅井成実を自殺させてしまった後悔を滲ませていた。 連載30周年を迎えた『名探偵コナン』。完璧に見える江戸川コナンにも、失敗や知らないことがある。そんな人間らしい一面こそが、ただの超人ではなく、多くのファンに長く愛されるキャラクターたらしめているのだ。
林田祐太郎