50歳会社員、貯金ゼロです。定年した元上司は「貯金ゼロでも暮らせる」と言うのですが、いまさら焦ってきました。今から貯金しても間に合いますか?
50歳になったばかりの会社員Aさん。子どもは独立し専業主婦の妻と2人暮らしですが、貯金ゼロだそうです。すでに定年した元上司は「自分も貯金ゼロだったが暮らしていけるぞ」と聞いたとのこと。ですが、「老後が心配です。今さら貯金しても遅いですよね……」とのご相談です。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
老後、貯金ゼロで暮らしていけるか調べてみよう
日本年金機構によると、令和6年4月分からの国民年金(老齢基礎年金の満額)は、夫婦2人分で月額13万6000円です。夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は、月額23万483円です。 Aさんは会社員なので、厚生年金と退職金を使って元上司のように貯金ゼロでも暮らしていける可能性があります。60歳で定年退職して退職金を受け取り、年金の受給開始まで退職金を切り崩して生活します。 65歳からは、厚生年金を受給します。生活費が年金受給額内であれば、貯金ゼロでも暮らしていける計算です。これが実現可能なのか、退職金と厚生年金の金額、生活費を調べてみましょう。
豊かな老後のための対策は3つ
貯金ゼロで暮らしていくのは厳しい場合は、貯金するだけが準備ではありません。退職金や年金で生活できるように、生活費を見直して下げること、定年後も働くことを検討してみましょう。 退職すると在職中よりも使えるお金が少なくなります。現在貯蓄ゼロのAさんは、今よりもかなり節制していけば、老後も暮らしていける可能性はあります。しかし、老後は、旅行など余暇を楽しみたい、子どもや孫に少し援助してあげたいなど、豊かな老後には厳しいかもしれません。 豊かな老後のための対策は3つあります。 ●老後に向けてお金を残していく ●老後の生活費を見直す ●老後の収入を増やす(定年後も働く) 老後2000万円問題が話題になったように、どうしてもお金を残していくことだけが唯一の対策と思われがちです。退職まであと10年で、今まで貯金ゼロだったAさんが貯金だけで老後対策をしようとするのは、かなり難しいはず。3つの対策を組み合わせて行えば、豊かな老後に近づきやすくなります。 総務省 労働力調査(基本) 2023年(令和5年)平均結果によると、60歳~64歳の男性で働いている人(就業率)は、84.4%、女性は63.8%、65歳~69歳の男性は61.6%、女性は43.1%、70歳~74歳の男性は42.6%、女性は26.4%でした。 定年後も働くことは収入を得るだけではなく、社会的なつながりを保ち、いきいきと暮らせる、体や頭を使うことで健康的な生活が保てるなど、さまざまなメリットがあります。ただ、収入によっては年金の受給が減らされてしまうケースもあるので、注意が必要です。 60歳以降はまったく働かないと決めず、体調や状況を見ながら働いて収入を得ていきましょう。専業主婦の奥さまも、働くチャンスです。人生100年とすると、定年後も在職期間も約40年と同じ長さです。長い老後も、適度に働くことでメリハリのある暮らしが送れると思いませんか?