「働き方改革」“ライフ”が優先 ー 婚活支援に本気になった都の狙いとは
衆院議員時代から婚活支援に力を入れていた小池知事
都知事に就任したからといって、小池知事は思いつきで婚活イベントをやろうとしたわけではありません。自民党内には「婚活・街コン推進議員連盟」が設置されていますが、実はこの議員連盟を立ち上げたのが、当時は衆院議員だった小池都知事です。婚活支援を長らく国会議員として取り組んでいたわけです。 そんな経緯から、都知事として婚活支援を実践する。こうして“TOKYO縁結日”は開かれることになりました。とはいえ、行政が婚活支援に取り組むと聞くと、戦前期に政府が殖産興業の一環として掲げていた“産めよ増やせよ”のスローガンを想起してしまう人もいると思うのですが……。 「都は正規労働に就きたいと望む非正規労働者の支援に取り組んだり、出産した女性がそのまま仕事を続けられるように子育てに向いた住宅の設置支援に取り組んだりしています。さまざまな支援に取り組む中、結婚から子育てまで切れ目のない支援をするということで、今回の婚活支援にも取り組むことになりました。結婚には、その人の価値観や人生観が強く反映されます。“TOKYO縁結日”には、都が結婚を強制するような意図はありません」(都政策企画局調整部政策担当課)。
経済的な事情や子育て支援……婚活支援以外に課題山積
2016(平成28)年、年間の出生数はとうとう100万人を割り込みました。そうした危機感から、政府も地方自治体が取り組む婚活支援へのサポートを始めています。今のご時世、そうした行政による男女の出会いをサポートすることも大事なのかもしれません。 しかし、そもそも結婚しようと考える男女が減少したことや、カップルなどがいざ結婚に踏み切れない理由は、なによりも経済的な事情が大きいと言われます。不安定な雇用や低収入、共働きを選択する男女なら子供が生まれた後の子育ての支援体制も気になるところです。 そうした課題を解決しなければ、行政がいくら婚活支援に取り組んでも絵に描いた餅でしかありません。都が解決しなければならない課題は山積みです。 小川裕夫=フリーランスライター