代えたのはパターだけじゃなかった 松山英樹のPGAツアー10勝目セッティング
◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 最終日(18日)◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70) 【画像】松山英樹 優勝会見でようやくリラックス 松山英樹がプレーオフシリーズ初勝利、今季2勝目でPGAツアー通算10勝目を飾った。クラブは2週前に銅メダルを獲得した「パリ五輪」から、メーカー名、モデル名は代わっていないようで…14本のうち、3本をスイッチしていた。 お馴染みのスコッティキャメロン製のピン型パターを別モデル(クラフツマン プロトタイプ)に変更。美しい削り出しのスクエアバックタイプで、数あるコレクションから引っ張り出して今大会の開幕前からコースで使用してきた。普段の愛用パターよりも半インチほどシャフトが長いという。 パター以外にはウェッジを2本をマイナーチェンジ。PWをアイアンセットの住友ゴム工業 ダンロップ スリクソン Z-フォージド IIから、クリーブランド RTX4フォージドの48度へ。 そして、60度のLWだ。モデルは他のウェッジと同じ「RTX4 フォージド」だが、パリで握ったものとはサイズ、バウンスの形状(グラインド)が異なる。ダンロップのツアー担当者・宮野敏一氏は「多くの試合で使うモデルよりも、構えた時にリーディングエッジがわずかに高く、バウンスが突き出ているような感じ」と明かすが、差はミリ単位の極小。一般的には2本を見比べてようやく分かる…かどうか、という違いだ。 1シーズンで10種類以上は形状の異なるウェッジをテストするのが、松山と同社チームとの取り組み。6月の「全米オープン」の練習日にもテストし、プレーオフシリーズで実戦投入に至ったこのウェッジについては、着想から2年以上の試行錯誤があった。 「バミューダ芝に代表される、強い芝目への対策をずっと練ってきました。今回のウェッジは、バウンスをより効果的に生かせるようです」。シーズンの最終局面での変更は、突飛な思い付きによるものではなかった。メダルを手にした次の試合でのスイッチにも、宮野氏は「新しいウェッジでワクワクしていました」と語る。 「いくら練習で良い感触があっても、プレッシャーがかかった時にしっかり機能しなければ、意味がありません。もっと話し合って、オプションを増やせるようになれば。もちろんこれで終わるわけもなくて、『次は何をやろうかな』という感覚です」。節目の1勝を手にしてもゴールは果てしなく遠い。(テネシー州メンフィス/桂川洋一)