「１対１で仕掛けることを意識していました」

チェルシー戦では57分から投入された三笘。(C)Getty Images

　三笘薫にとって３週間ぶりとなったプレミアリーグ。敵地でのチェルシー戦は、ベンチからのスタートとなった。 【動画】「えっぐ」「化け物」と反響！チェルシーDFをPA内でぶち抜いた三笘のキレキレドリブル 　試合開始１時間前に配られるメンバー表を受け取り、先発出場選手の面子を見比べる。ワールドクラス揃いのチェルシーと比べると、怪我や出場停止により主力を欠くブライトンのラインナップは特に貧相に見えてしまう。 　出場選手たちの名前を見て、三笘を控えに回したブライトンの左サイドハーフに起用されるのはサイモン・アディングラだと予測する。試合が始まり、中盤左に目をやると、そのポジションでプレーしていたのは思ったとおり、コートジボワール代表だった。 　そんなアディングラは、開始直後こそ溌溂（はつらつ）としたプレーでチェルシーゴールに迫ったものの、その後はあっさりと存在感が薄れていった。これはブライトンの攻撃陣も同じで、それと同時にチェルシーに勢いが付き始めていく。そんななか、ホームチームは17分に先制点を挙げ、その４分後にも追加点を決める。 　あっさりと２点をリードされ、以降も防戦一方の展開。実力で劣るブライトンにとって、まだまだ長い試合時間が残り、あとはどれだけ辱められないかの“ダメージリミテーション”、つまり点を取られずに大敗を避けられるかの一択しか選択肢がないように思われた。 　 　だが前半終了の２分前には、三笘に代わって出場していた右サイドハーフのファクンド・ブオナノッテがチェルシー守備陣の一瞬の隙を突いて１点を取り返すことに成功。さらにハーフタイム直前に、ブルーズ（チェルシーの愛称）のゲームキャプテンを任されたコナー・ギャラガーがこの日２枚目のイエローカードで退場処分となる。数分前まで大敗と思われた試合の行方が、一気に分からなくなったのだった。 　後半は、開始直後からブライトンが攻勢となるが決め手を欠き、チェルシーゴールを脅かすまでには至らなかった。迎えた57分。ロベルト・デ・ゼルビ監督は、いきなり４枚のカードを切るという荒業に出る。その１枚が三笘だった。 「次の１点が大事だったんで、僕は（ワイドエリアに）張った状態から１対１で仕掛けることを意識していました」 　ピッチに上がった直後の三笘の狙いだった。その言葉どおり、積極的に敵の２番、アクセル・ディサシにドリブルで仕掛けて、翻弄（ほんろう）した。