女性トラブル報道の中居正広さん番組休止、フジテレビの対応から業界全体に広がる「不信感」の連鎖…3つのモヤモヤポイント解説
●どんな調査がなされたのか?
第三の、そして最大のモヤモヤポイントは、フジテレビの対応はこれでいいのか、ということだ。 もちろんフジの主張するように「一切社員の関与はない」というのが事実であるとしても、方法論とタイミングに疑問は残る。 「一切社員の関与がない」わりには各種の報道が次々とされているし、それぞれの報道に対する具体的な反論はない。 中居さんと女性との間の和解で守秘義務契約が結ばれているとすれば、フジはその横からいろいろと弁解できない状況にあるのかもしれないので、難しい立場にはあるのだろう。 しかし、具体的な説明のない「全否定」と、その後も止まない続報……。どこかで見たことがあるような気がする。そう、松本人志さんの問題における吉本興業の対応と印象がかぶってしまうのだ。 あのときも吉本興業は当初「当該事実は一切なく」と事実無根を強調したが、それからしばらくして「真摯に対応すべき問題と捉え」と態度をひるがえした。 もし、週刊誌報道の通りに「女性がフジの上司に被害を訴えていた」というようなことが仮にあったとしたら、これは企業が「深刻な人権侵害に対する対応を間違えた」という事態かもしれない。局が報道前に自ら番組休止を決めるのと、報道を受けてやむなく休止するのでは大きな違いがあろう。 だから、まずは「公正な第三者機関による調査を行う」旨を発表し、その調査を待ってから、全否定するなら全否定すればよかったのではないか。 あるいは、すでに公正な調査をしているのであれば、その旨を発表すればよかった。そのほうが企業の危機管理として正しかったのではないかという気がしてならない。 そして、もし全否定するのであれば、「だれかtoなかい」の放送休止の説明を「総合的な判断で」の一言で終わらせてはならないだろう。やはり理由を詳細に発表する責任があるのではないか。 これだけの「モヤモヤ」を残すような対応では済まないところまで問題は大きくなっている。なぜなら世間がフジテレビに向けている疑問の目は、「その制作姿勢の根本と、人権意識の根幹に対する重大な疑い」にほかならないからだ。 いや、フジテレビだけではない。テレビ局全体に疑問の目が向けられている。