<北朝鮮内部>携帯電話での撮影を強力に統制 国内外へ「恥部」拡散を憂慮か? 「写真一枚さえ自由に撮れない」
◆趣味やスポーツの動画の送信・共有も徹底取り締まり
協力者によると、ある住民が「糾察隊」の取締まり風景を撮影していたところ、携帯電話を奪い取られて壊された出来事が最近あったという。「社会的に問題になりそうな場面の撮影に対しては特に強圧的だ」と協力者は述べた。 ※糾察隊:社会の風紀の維持と「非社会主義的」行為の取り締まりを目的とする民間人で構成された統制組織。 それだけではない。日常の趣味や運動の様子を撮影、編集して共有することまでが取締まりの対象になっているという。 「若者同士で格闘技やテコンドーをして遊ぶ様子を撮影して編集し、USBで共有したり、携帯電話で送信したりすることも徹底的に取り締まるようになった。学校と青年同盟でも教育を強化せよと、当局が要求している」
◆脱北者が携帯で撮影した動画が拡散した影響か
2023年5月に北朝鮮を船で脱出して韓国入りした男性が、今年に入り衝撃的な動画を韓日のメディアに公開した。北朝鮮の携帯電話で撮影した動画で、道端に倒れた男性や、物乞いする大人や子どもの姿が映されていた。今年3月には国連の会合でも上映されて反響を呼んだ。 金正恩政権にとっては、「自国の恥部」が携帯電話で撮影されて国際社会の面前にさらされたことになる。6月末に突然携帯電話による撮影や拡散に対する取り締まりが強化されたのは、この脱北男性が公開した動画の影響かもしれない。 北朝鮮では今年4月、個人が動画を制作して流布する行為を「非社会主義」であると規定して取締まりの対象とした。金正恩氏が直接命じた内容だと考えられる。国内では「4.27指示」と呼ばれている。 ※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮国内に搬入し連絡を取り合っている。