阪神・佐藤輝 30発&GG賞が現実味 担当記者が分析「打つための根拠」「打てない理由」を考えられる
阪神が27日、1軍宜野座キャンプを打ち上げた。デイリースポーツが今キャンプで最も輝いた選手に与える「AREで賞」に選出したのは佐藤輝明内野手(24)。充実ぶりを示すかのように、この日のフリー打撃ではラストスイングで一発を放った。打撃では新フォームに着手する中、沖縄の実戦では2本塁打、打率・500をマーク。守備でも連日の特守に励んだ。佐藤輝の“進化”を番記者が探った。 ◇ ◇ これが進化の証しだ。沖縄でのラストスイングで白球を完璧に捉えると、狙い澄ましたように右中間フェンスを越えた。佐藤輝はやりきったという表情で一本締め。「充実したキャンプを過ごせたと思います」。濃密な1カ月を簡潔な言葉で振り返った。 昨年12月の優勝旅行を一足先に切り上げ、米シアトルへ飛んだ。訪問したのはドライブライン・ベースボール。動作解析をもとにフォームを改善し、反復練習で行うドリルも学んだ。1月の自主トレから実践していたが、南国でもドリルは徹底。練習メニューに迷いがないように映った。 早出練習では室内練習場で短いバットを手にした。置きティー打撃で軟式球を左手だけで打つ。体の動きや腕の使い方など、細かい部分まで確認していた。フリー打撃前のティー打撃でも常に同じことをやり続ける。「再現性が高まっていく」という狙い通り、実戦での好結果につながった。 「キャンプの中でも調子が悪い時があった。そこでどう修正するかというのは、何個かポイントを見つめられたので良かったです」 昨季までの課題は好不調の波が激しいこと。今季も当然、不調の時期はやってくる。「同じ状況になった時に、しっかり修正できるようにというのはあるので良かった」。打つための根拠、打てない時の理由を考えることができる。これは昨季までとは大きく成長した点だろう。 そして、守備では自覚が芽生え始めた。キャンプ序盤から特守のメニューが組まれていたが、馬場内野守備走塁コーチによる“強制”だったと聞く。「まだまだ意識が低い」という厳しい声もあった。それが、日を追うごとに変化。計8度、515分のノックを受けたが、同コーチは「やろうとしている姿が見えた」と評価した。プロ4年目で最長の守備練習。「上達したんじゃないかなと思います」と言えるまでやり抜いた。 1月には岡田監督が「あの数字やったら他のもんでも残せるで」と三塁のレギュラーは白紙を強調していた。その評価が今キャンプで変わった。「守備うまなったよな。打つ方にも絶対プラスになってると思うよ」。特守は打撃にも好影響が出ると分析。進化は想像を超えたようだ。 ただ、このキャンプでの取り組みが正しかったかはシーズン成績で決まる。「やりたいことは一番やれたかなと思います」。一皮も二皮もむけた印象の佐藤輝明。30本塁打&ゴールデン・グラブ賞獲得も夢物語ではない気がしている。(デイリースポーツ阪神担当・今西大翔) 【今キャンプの佐藤輝】 1日 全体練習後、40分間の特守に「暑いですね、沖縄」も充実感。 3日 フリー打撃で防球ネット越え含む7発&特守1時間。 6日 鳥谷臨時コーチと290本ノック。 11日 初実戦となる紅白戦で2打数2安打。 12日 紅白戦で秋山から推定120メートル弾。この日も2打数2安打。 15日 オンラインファンクラブミーティングで「(本塁打)40本打てれば」。 20日 サムスンとの練習試合で実戦5戦連続となる安打。試合後は特守でノック154本。 23日 開幕カードとなる巨人戦で右へ特大2ラン。岡田監督「何にも言うてない。使う選手やねんから」。 26日 “相棒”馬場コーチと8度目の特守。今キャンプ通算515分に及んだ守備練習に「うまくなってるんじゃないかな」と自身も手応え。