【2024インターハイ】大勝ではなく、下級生を育てながら僅差で勝つことで3連覇を成し遂げた京都精華学園
「ゲームをやるごとに強くなっていくこと」
京都精華学園の山本綱義コーチは、3回戦で桜花学園を1点差で破った試合後にこう語っていた。今年のチームは、インターハイとウインターカップで2連覇に大きく貢献した堀内桜花、八木悠香、ディマロ・ジェシカという強烈な存在感を持った選手はいないかもしれない。
しかし、昨年からスターターを務める橋本芽衣と桃井優、キャプテンとなった林咲良がガード陣、ユサフ・ボランレ・アイシャット(ボラ)がセンター、石渡セリーナがパワーフォワードというラインナップを構成。1年生ガードの満生小珀、2年生フォワードの坂口美果、1年生センターのンガルラ・ムクナリヤがベンチから登場するローテーションで試合に臨んでいた。
準々決勝の聖和学園戦、準決勝の昭和学院戦は前半で苦戦を強いられ、決勝の岐阜女戦は後半に猛反撃に直面し逆転された局面もあった。それでも最後に京都精華学園が勝つ術を見つけ出し、3連覇を成し遂げられたのは、ボラの著しい成長によるところが大きい。残り41秒に逆転、かつ決勝点になったレイアップは、カットしてからのフィニッシュ。3回戦で桜花学園を破った時の決勝点も、ベースラインからのインバウンドでロブパスをもらった後にフットワークを駆使してのショットだった。
「ターンオーバーが多く、フットワークもボールの扱いもできなかった」と山本コーチは語ったが、インターハイでのボラはゴール下やオフェンシブ・リバウンドからだけでなく、自らがドリブルを使ってアタックして得点するシーンも見られた。また、速攻で得点できる機動力やフィジカルの強さは、他のチームでプレーする留学生よりも上回っていた。
もちろん、ボラを最大限に活かせるガード陣の存在も京都精華学園の強み。林は強気な攻める姿勢があり、自らが局面を打開してボラの得点機会を作ることに長けていた。控えの満生もペネトレイトでディフェンスを切り裂くことができる上、非凡な得点センスを発揮。経験豊富な橋本と桃井は、肝心な局面でビッグプレーを決められる。特に桃井は決勝戦の4Q、岐阜女に12連続得点を許して逆転された直後のオフェンスで、ドライブから再逆転となるレイアップでフィニッシュしていた。