12球団本拠地が「遠すぎて負担」を解決 村から通う子も…招待制で知れ渡る“地方の逸材”
26日開幕、NPBジュニアに挑む四国ILジュニアには女子小学生4人…遠方から通う子も
小学5、6年生がプロと同じユニホームでNo.1の座をかけて戦う「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024~第20回記念大会~」が26日、神宮とベルーナドームを舞台に開幕する。四国アイランドリーグPlusジュニアも招待され、140人が集まった選考会を通過した16人が、駒居鉄平監督(元日本ハム)の指揮のもと大舞台に挑む。今回の招待制度によって12球団本拠地から遠い地域の子にも“門戸”が開かれ、中には人口3600人余りの小さな村から通う女子もいる。 【動画】肘が“引っ張り出される”フォーム矯正へ 胸主導の投球動作が身に付く「やり投げ」ドリル ジュニアトーナメントは、世代屈指の小学生が挑む場所。小学6年間の集大成の1つとして捉えられており、NPB12球団がそれぞれ実施するセレクションを受ける子どもは多い。しかし、合格すれば本拠地周辺の練習施設への送り迎えなどの負担があり、それに割かれる時間、交通費を理由に、我が子を挑戦させられない家庭が地方にはあるのが実情だ。 だが、今年初めて設けられた招待チーム制度によって、12球団本拠地から離れた地に住む球児やその保護者へ、同大会に挑戦するチャンスが拡大。当事者からは喜びの声が上がっている。高知県東部の芸西(げいせい)村在住の堀川緒夏選手(6年=高知家リトルガールズ、芸西スポーツ少年団)もその1人だ。 堀川さんは、幼いときから兄が所属するチームや、父の草野球チームに交じり、週7日間野球漬けの日々を過ごしてスキルを高めてきた。小学4年時には高知県軟式野球連盟学童部が実施する「U-10アカデミー」に参加し、力強いピッチングと落ち着きがある守備で選抜チーム入り。さらにジュニアチーム合格後は、高知ファイティングドッグスの「FD野球スクール」にも通い始め、高知市内に通うのも大変な中、四国内で行われるジュニアチームの練習にも休むことなく参加してきた。
指揮官も実感した学童期における女子の存在感
下校後に空き時間があれば、自主的に走り込みや縄跳びをすることが自然だという堀川さん。同じくジュニア入りしたチームメートの川島桜音さんを誘ってキャッチボールをすることもあるという。本大会に向けて「他の県はレベルも高いし、良い選手ばっかりだと思うので、その力を取り入れられるようにプレーボール前から観察力をしっかり持ちたいです」と、ハキハキとした口調で意気込んだ。 四国ILジュニアには4人の女子がメンバー入りしており、他チームと比較するとやや多い。駒居監督は、最近の子どもたちには「諦めるのが早い」傾向があることに言及しつつ、「女子はそうでもない印象を受けています」と明かした。 「僕が小学生だったときは負ける気なんて一切なかったです。周りもそんな男子ばかりで、ガツガツしていたように思います。でも最近の男の子は、半々の割合で“諦めが早い子”がいます。対して女子は、言葉では発しないですけど胸の内に、セレクションや試合で『男の子に勝ちたい』っていう強い思いがあって、なかなか折れない。セレクション前にスタッフ同士で『女子も入れたいね』とは話をしていましたが、実力で男子に勝った女子が4人もいたわけです」 そんな女子選手たちは、静かなチームの引き締め役になっている。またとない機会に、四国一丸となって燃えている。
喜岡桜 / Sakura Kioka