ブラボー! 最新 ルノー5 E-テックへ試乗 電動で蘇った「サンク」 クーパー Eの真のライバル
普段使いで驚くほど快適な走り アルピーヌ仕様も
パワートレインは、119psの駆動用モーターに40kWhの駆動用バッテリーという組み合わせと、150psに52kWhの組み合わせの2択。航続距離は前者で305km、今回試乗した後者で402kmがうたわれる。 運転体験はホットハッチ的ではない。硬めの乗り心地ですばしっこいというより、普段使いで驚くほど快適。市民の足になるハッチバックとして、悪い設定ではないと思う。 動力性能は、過不足ない水準。フロントタイヤがむずがるほど、鋭い加速は披露しない。0-100km/h加速は8.0秒で、80km/hを過ぎると勢いは低下していく。 ブレーキの反応は素晴らしい。ペダルの感触は一貫性が高く、筆者が試乗したバッテリーEVの中でも最高水準だろう。回生ブレーキと摩擦ブレーキの協調性が高く、引き継ぎはシームレスだ。 乗り心地は非常にしなやか。アスファルトが剥がれた穴も、速度抑止用のスピードバンプも、滑らかに乗り越える。同時に、高速道路での安定性も素晴らしい。AUTOCARが2024年のベスト・コンパクトカーに選んだ、ルーテシアと共通する強みだ。 操縦性は軽快で、漸進的なステアリングを活かし、市街地を爽快に駆け回れる。ただし、速度上昇とともにアンダーステアが強くなり、回頭性が緩く感じられるようになる。高めの速度域では、クーパー Eの方が楽しい。 とはいえ洗練性は高く、運転がつまらないわけではない。追って、218psのアルピーヌ仕様も控えている。専用サスとブレーキでシャシーを強化し、ホットに仕立てる余地は充分にある。
現実の航続距離は320km クーパー Eのライバル
筆者が試乗したのはデンマーク郊外だったが、過ごしやすい天気での航続距離は約320km。気温の違いでどう変化するのか、改めて確かめる必要はありそうだ。 トリムグレードは、エボリューション、テクノ、アイコニックの3段階。インテリアのカラーは、グレードによって決まるという。 英国価格は、エボリューション・グレードで約2万3000ポンド(約442万円)からが見込まれる。クーパー Eは約3万ポンド(約576万円)からだから、お手頃に設定されるようだ。 特別仕様として、テニスの全仏オープンとコラボレーションした、ローラン・ギャロス仕様も発表済み。テニスコートをイメージした色の、カーペットが特徴となる。 歴史的で象徴的なモデルを、巧みに現代へ蘇らせたルノー。AUTOCARでは、このアプローチを高く評価したいと思う。 魅力的なデザインと快適性重視の走りは、非常に好ましい。心地良いシートや、内装とタッチモニターとのバランスも良い。普段使いのクルマとして、過度にスポーティである必要はないだろう。 クーパー Eの本当のライバルが、いよいよ登場した。ブラボー、ルノーリューション! ◯:優れた乗り心地 コストパフォーマンスの高さ インテリアデザイン △:やや短めの航続距離 高速域での動力性能の低下 狭めのリアシート
ルノー5 E-テック・エレクトリック 150HP コンフォートレンジ・テクノ(欧州仕様)のスペック
英国価格:約2万7000ポンド(約518万円/予想) 全長:3920mm 全幅:1770mm 全高:1500mm 最高速度:149km/h 0-100km/h加速:8.0秒 航続距離:402km 電費:6.7km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1449kg パワートレイン:AC同期モーター 駆動用バッテリー:52kWh 急速充電能力:100kW 最高出力:150ps 最大トルク:24.9kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
マーク・ティショー(執筆) 中嶋健治(翻訳)