「心の傷、癒やされない」 犯罪被害者週間前に講演 東京
毎年11月25日から12月1日の「犯罪被害者週間」を前に、新宿駅(東京都新宿区)近くで15日、関連イベントが開催された。 【ひと目でわかる】首都圏で起きた7件の強盗事件 高校1年生の時に強盗殺人事件で両親を失った佐藤咲子さん(75)=埼玉県=が講演し「心の傷は癒やされない。60年たっても悔しく、涙が出る」と訴えた。 両親は1964年、岩手県内の自宅に強盗目的で侵入した男に散弾銃で殺害された。佐藤さんと2歳上の兄は県内で下宿しており、無事だった。 司法解剖後に両親と対面。喉を撃たれた父親は顔中を縫い合わされた痛々しい姿で、母親は真っ白な顔をしていた。2人の遺体に触れ「この世で一番冷たいものだと思った」という。 事件後の45年間は、被害者遺族であることを隠してきた。遺族は楽しんではいけないとの思いを抱えつつ、「暗いと言われぬよう、自分を鼓舞して笑ってきた」と打ち明けた。 他の事件の遺族らと関わるようになって体験を語り始めた佐藤さん。最近の「闇バイト」で犯罪に加担する若者に触れ、「罪を犯してから後悔しても遅い。被害者は目に見えぬ傷や痛みに耐えて生きることになる」と呼び掛けた。 イベントは16日までで、公益社団法人「被害者支援都民センター」が主催。会場には事件や事故で犠牲となった約50人の写真や遺族のメッセージが書かれたパネルが展示されている。