博多駅-新大阪駅の山陽新幹線全線開業50年、安全支える副作業長は22歳「縁の下の力持ちに誇り」
稲尾さんも力を込める。「これからも気を抜かず、引っ張っていく。それこそが、お客さまを安全に目的地まで届けることにつながるのだから」
「地域貢献の顔」も
博多総合車両所は「地域貢献の顔」も持つ。定期的に開催する施設見学には地域住民が訪れ、年1回のイベントは各地から多くの鉄道ファンが集う。
昨年11月には那珂川第一幼稚園の園児約30人も見学。フェンス越しに走る車両が近づいてくると、跳びはねて喜んだ。園児(6)は「近くで見ることができてうれしい」と笑顔で話した。
博多の魅力を届ける「デイトス」も50周年
JR博多駅筑紫口の商業施設「博多デイトス」は、山陽新幹線の全線開業と同じ1975年3月10日にオープンした。「ひかりが来て 春がきて デイトス誕生」。当時の読売新聞には活気あふれる見開きの広告見出しが躍った。
「『亡くなった母もここで食べていました』と紙ナプキンに書き置きが残されていたこともありました」
そう話すのは、開業時から店を構える「博多鯛めしと日本料理 石蔵」を経営する石蔵啓孝さん(66)だ。看板メニューは玄界灘の鯛を使った「鯛めし」。父・達三さん(故人)が開発し、当時と同じデザインのおひつで、変わらぬ味を提供している。半世紀の時を経た今では外国人観光客に人気の朝食も用意する。
デイトスは飲食や土産品など135店が入居して開業。新幹線の運行本数は増え、博多駅は旅行客やビジネスマンらが行き交う九州の交通の要衝として発展した。デイトスも成長し、辛子明太子は全国区の土産になった。
50周年になる今年は施設内のリニューアルが完了する。「これからも博多の魅力を届け、喜ばれる存在でありたい」。石蔵さんら店舗関係者の思いは一つだ。
改札内で立ち食いすしが食べられる小倉駅
JR小倉駅新幹線改札口内では、立ち食いのすし店がにぎわっている。新幹線駅の改札内で立ち食いすしが食べられるのは、山陽新幹線ではここだけだ。
響灘や周防灘などに囲まれた北九州市は、多様な魚が水揚げされる。この魅力を駅から発信しようと、JR西日本側が市内などですし店を展開する「平四郎」に出店を提案。昨年3月にオープンした。