フランス、10年物国債利回りがギリシャと同等に-予算案巡る懸念
(ブルームバーグ): フランスの10年物国債の利回りが、記録上初めてギリシャと同等となり、欧州連合(EU)域内2位の経済大国が、かつて欧州債務危機の震源地だった国と肩を並べることになった。
ユーロ圏で最も安全な国債の一つと見なされきたフランス債の10年物利回りは28日取引開始直後に3.03%に上昇。昨年まで大手格付け会社によってジャンク級に格付けされていたギリシャ債と並んだ。
投資家はバルニエ首相が来年度の予算案を議会で可決させることができず最終的には政府が崩壊する可能性を懸念している。
アルマン経済・財務相が28日、2025年度予算案について譲歩する用意があると発言した後、フランス国債は上昇に転じたが、数カ月にわたる低迷を覆すにはほど遠い。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのシニア株式ファンドマネジャー、ニコラス・シマー氏は「もっと大幅な値下がりにつながるような出来事が起こる可能性もある。底値に達したと断言するのは非常に難しい」と述べた。
投資家は、不安定な時期はまだ終わっていないとみている。極右政党・国民連合(RN)を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏は、不信任案を提出すると繰り返し述べている。アルマン氏は野党が政府を倒す事態は避けたいと述べた。
アルマン氏の発言を受けてフランス10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ベーシスポイント低下の2.98%となった。ギリシャ10年債利回りより2bp低い。
今後の動きは、最終的な25年度予算案と社会保障予算案が提示された段階でのルペン氏の対応によって決まる。バルニエ氏は、議員が予算案を拒否し政府を転覆させるようなことがあれば、フランスは金融市場で「嵐」に直面することになると述べている。
S&Pグローバル・レーティングは29日にフランスに対する最新の評価を発表する予定。フィッチ・レーティングスとムーディーズ・レーティングスは先月、財政悪化と財政赤字抑制における政治的困難を理由に、フランスの格付け見通しをネガティブとした。