学術会議の法人化、投票制導入で会員選考に透明性確保へ 政府有識者懇が報告書とりまとめ
日本学術会議の在り方を検討する政府有識者懇談会(座長・岸輝雄東大名誉教授)は18日、学術会議の法人化に向けた具体的な制度設計に関する最終報告書を大筋で取りまとめた。会員選考の透明性を高める投票制の導入や、国が任命する監事などを通じた活動内容の把握などが柱。政府は報告書を踏まえ、来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。 報告書は、会員選考で外部有識者の意見を聞く「選考助言委員会」の新設や、海外の例を踏まえた投票制の導入といった客観性や透明性を高める必要性を示した。一方、法人化後も国を代表する学術団体「ナショナルアカデミー」としての活動を担保するため、政府が必要な財政支援を行うことを明記した。 学術会議にはこれまでも年間約10億円の予算が計上されている。政府内では法人化後の活動活性化を期待し、予算の上積みも検討されている。また、財政支援を行うことから、業務や財務を監査する「監事」を政府が任命して運営状況を確認することも盛り込んだが、学術会議側は反発している。 岸氏は18日の有識者懇後、記者団に「政府は懇談会の報告書を最大限踏まえて(法制化に)取り組んでほしい」と述べた。 学術会議を巡っては、令和2年に菅義偉元首相が学術会議側が推薦した会員候補6人の任命を拒否。現職会員による推薦者を首相が形式的に任命していた選考過程の不透明さにメスを入れた。政府は昨年4月、透明性向上のため選考に第三者を関与させる学術会議法改正案の提出を試みたが、学術会議側が反発し、断念。法人化に向け、有識者懇を設置して議論を続けてきた。(永井大輔)