ザックジャパンの“代名詞” 3バックは試されるのか
コートジボワール代表とのワールドカップ初戦まで、いよいよ2週間を切った。ザックジャパンは5月30日から、暑熱対策をメインとした2次キャンプをアメリカ・フロリダ州タンパで行っている。トレーニングは冒頭の15分間を除いて、すべて非公開とされている。戦術的トレーニングも当然メニューに加えられているはずだが、アルベルト・ザッケローニ監督が「ワールドカップ本大会におけるオプションとする」と公言していた「3‐4‐3システム」にトライしたというニュースは伝わってこない。
国際Aマッチにおいては、昨年10月15日に敵地で行われたベラルーシ戦の後半6分から導入したのが最後となっている。ザッケローニ体制下では9回にわたって「3‐4‐3システム」が試されているが、ベラルーシ戦を含めて、残念ながら一度も機能した試しがない。所属するFC東京で3バックを務めた経験を持つDF森重真人が以前に漏らした言葉に、選手たちがザック流の「3‐4‐3システム」に対して抱く違和感が凝縮されている。「FC東京では守るときには中盤の両ワイドを最終ラインに戻して5バック気味になるけど、代表は3枚だけで後ろを守るイメージでやらなきゃいけない。代表(の3バック)はまったくの別物なんです」。 FC東京だけでなく、J1で3バックを採用しているサンフレッチェ広島、浦和レッズ、ヴァンフォーレ甲府はすべて守備時には5バックに様変わりする。これがザッケローニ監督の「3‐4‐3」となると、最終ラインは3人だけで固定され、ボールサイドへの「横ずれ」を繰り返す動きが求められる。DF今野泰幸(ガンバ大阪)は、ザック流「3‐4‐3システム」の極意をこう説明したことがある。「極端な話をすれば、逆サイドを捨て去るくらいの気持ちで横ずれを繰り返さないといけない」。 ザッケローニ監督は、セリエAの中堅クラブだったウディネーゼで成功させ、自身の名声を高める評価を得た「3‐4‐3システム」を、「ゴールを奪いにいくためのオプション」として位置づけている。同システムへの思い入れの深さは、指揮官のこんな言葉からも伝わってくる。「基本は4バックだが、戦い方は2つ持っていた方がいい。ただ、うまく機能させるには時間が必要。仕上げはある程度、時間のあるワールドカップ直前の合宿になるだろう。ただ、私の3バックは3トップで戦うためだ。そのためには中盤に4人が必要で、DFは必然的に3人となる」。