【RIZIN】青木真也 クレベル・コイケと鈴木千裕を一喝「ヒョードルと石井さんの足下にも及ばない」
大みそかの格闘技イベント「RIZIN DECADE」(さいたまスーパーアリーナ)は、激闘や熱戦の連続となった。中でも好勝負で話題になったのがフェザー級、フライ級、ライト級の「3大王座戦」だ。この3試合を〝バカサバイバー〟こと青木真也(41)が忖度なしにぶった切った。 【写真】青木がクレベル vs 鈴木と比較した、ヒョードルと石井慧による2011年の大みそか決戦 まず青木が視線を向けたのが、メインのRIZINフェザー級王座戦「王者・クレベル・コイケ(ブラジル) vs 挑戦者・鈴木千裕」。1年6か月ぶりの再戦は、クレベルが鈴木をグラウンドの攻防に引き込んで判定勝ち。しかし、鈴木が一本を許さず、観客を大いに沸かせた。青木は一昨年6月の初対戦では1ラウンド(R)で一本負けした鈴木の成長を認めつつ「それでもまだ普通にクレベルの方が全然強かった。差が縮まったけど、追いついていなかったな」と声をしゃがれさせた。 勝ったクレベルを「1Rに引き込んでから(上下を)ひっくりかえした時点で『引き込めば大丈夫』って攻略が見えたはず。攻略が見えたらそれに徹するっていうMMAの常識をいったよね。戦略勝ちだ」と分析。 だが「でも、予想通りすぎて面白くなかった」とヘソを曲げて「クレベルも鈴木も年を越しちゃダメだろ」と声を荒げた。実はこの試合の3R開始とともに年明け。すでに新年を迎えていた試合後にカウントダウンイベントを行う〝時空のゆがみ〟が発生してしまった。 これに青木は「そこは(エメリヤーエンコ)ヒョードルと石井慧さんを見習えって!」と、すがすがしいほどの老害を発揮した。2人は2011年大みそかの「元気ですか!! 大晦日!!」メインで対戦し、1R2分34秒でヒョードルがKO勝ち。その直後にアントニオ猪木さんがリングに上がり、年越しの「1、2、3、ダー」を叫んだ。 青木は当時を振り返り「カウントダウンをやらなきゃいけないのに、時間が押していて、2Rまでいったらとてもできない状況だった。でも、ヒョードルがすぐに倒したから、石井さんが仰向けになってる横で会長が『ダー!』をやったんだよ」とメガネを光らせた。なぜ、ここまで詳しいのか。その理由は自身がこの直前のセミで北岡悟と5分5Rフルで戦い、たっぷりと時間を使っていたからだ。 そんな過去を引っ張り出した青木は「だからクレベルも2Rで絞め落として、鈴木が蘇生した瞬間に年を越すべきだった。あいつらはヒョードルと石井さんの足元にも及ばないんだよ」と力説。そして「クレベルも鈴木もエンタメが足りない。負ける勇気を持って年を越せ!」と意味不明な言葉を口にした。 続いてRIZINフライ級王座戦「王者・堀口恭司 vs 挑戦者・エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)」にもメスを入れる。試合は堀口がタックルでテークダウンしてズールーをコントロールし、判定3―0でベルトを守った。だが、青木は結果よりも、堀口がズールーの打撃を被弾する場面がたびたびあった点を重視して「堀口さんは去年も衰えを感じたけど、1年たってさらにそれを感じたよ。陥落は案外近いのかもしれない」と指摘する。 さらに「目が悪くなってきているのか反応が落ちていたし、打撃も効きやすくなっていた。KO率も下がって、気がついたら〝組み技の強いおじさん〟になってるだろ。年内陥落の可能性はまだないと思いたいけど…」とメガネを光らせた。UFC再挑戦を狙う絶対王者は、青木の不穏な〝予言〟を覆せるか。 一方でヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)を1R4分45秒三角絞めで下したRIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)は「圧倒だね。全く危なげがなかった。立っても寝ても大丈夫」ともろ手を挙げて絶賛。 その上で今後を「だからこそ、相手がいない。今年は外敵を連れてきてライバルを作る1年になるんじゃないか?」と予想した。 この状況について「要はUFCの一極集中だからこういう現象が起きるんだよ。このくらいのレベルになると、みんなUFCに行っちゃうから人がいないんだ。サトシや伊澤、堀口のような〝一強絶対政権〟ができちゃうのは、そういう裏がある」と読み解く。 これを踏まえ「逆に言えば、その3人が負けることがあれば、それだけプロモーションに力がついてきたってことになる。そういう面でも注目すると、今年は面白いと思うよ」と補助線を引いた。 2025年も〝絶口調〟なバカサバイバー。次なる標的は、5月の再戦が決まったあの2人だ。
前田聡