【すぐ動けない部下の対処法】「いちばん最後に得をしよう」という深すぎる主張とは?
職場には「損得ばかり考えている人」と「損得に関心がない人」がいる。 一体、なぜだろう? 今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。 「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。日々読者から寄せられるいろいろな悩みをぶつけてみた。本稿では悩みやすい年始に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。 ● 「損得ばかり考えて動けない部下」への対処法 Q.職場に「損得ばかり考えて動けない部下」がいて困っています。 私から見ると、そんな損得ばかり考えているのではなく、まず損得を度外視して動いてみたら、と思うのですが、その人は得になることばかり考え、絶対損をしないよう、何事にも細心の注意を払っています。それがまわりの人たちから警戒されているのに、本人は全く気づいていません。「損得ばかり考えて動けない部下」にはどういう話をしたらいいのでしょうか 【悩まない人の回答】 まず、「得だろうか、損だろうか?」「自分が得をしていても相手がもっと得をしていると損をした気分になる」というようなことに心を奪われて何もできないことが最も損な状態であることを認識してもらいましょう。 そこから脱するためには、「いちばん最後に得をしよう」という姿勢になるということです。 たとえば、自分も含めて5人いたら、4人が先に「得」するのを見届けてから、自分が最後に得することにするのです。 そのように考え方を変えると、他の人がうまくいっていても、「自分の順番がまだきていないだけ」と現状の捉え方・解釈が変わります。 ただしこれは、自分が「得」することをあきらめているわけではありません。 私自身はいつも「いちばん最後に得する」と決めているので、他の人の成功を見ても感情が動くことはありません。 「悩まない人」は最初から「自分がいちばん損な立場であろう」とするのです。 これは、「損しようとする」のではなく、「5人いたら4人全員が得してから最後に自分が得しよう」という考え方です。 こう考えると、常に損得で物事を考えたり、誰かが得をして悔しいといった感情が生まれにくくなります。 私自身、まだまだ売上が少ないときは取引先に代金を払って、社員に給料を払い、残った分を自分がもらうというのが当たり前でした。 最初の2年間はお金が残らなかったので無給で働いていたのです。 他社と協業する際も、基本は相手ではなく、まず自社がリスクを取る。 そして相手が儲かってから初めて自分たちが儲かる仕組みにするとうまくいくのです。 こういったことを私はいろいろな修羅場を通じて体得しているのですが、うまくいっている経営者を観察していると、このような考え方をしている人が多いことに気づきました。 「損得ばかり考えて動けない人」にはこの話をじっくりしてあげながら、本書にある30の思考アルゴリズムを1日1つインストールしていくと、劇的に変わらないかもしれませんが、少しずつ変わってくるかもしれません。 (本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)
木下勝寿