「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人気ゲームを直撃した「スパイ疑惑」とは?
敵のスパイ活動の入り口に?
イン・Q・テルの創業CEOギルマン・ルイ(Gilman Louie)は、ナイアンティックの取締役会に名を連ねている(ルイのベンチャーキャピタル・ファンド、アルソップ・ルイ・パートナーズもナイアンティックの出資者)。 ハンケ自身、ミャンマーで国務省スタッフとして働いた経験があり、米政府関係の仕事にはなじみがある。 問題の一部は、ゲームの仕組みについての基本的な理解不足にあったかもしれない。 ポケモンGOではスマホのGPSとカメラの両方にアクセスする必要がある。プレイヤーはスマホを片手にカメラを通して拡張現実(AR)をのぞき込みながら、歩き回って現実の場所に出現するポケモンを探して捕まえる。 ゲームはプレイヤーのGPS座標やWi-Fi、スマホ基地局のデータを追跡する(時にはポケモンGOをしていないときも)。アプリを入れたスマホをゲームが見つけると、近くにポケモンを出現させ、プレイヤーが捕まえられるようにする。 プレイヤーはアイテムを入手できる「ポケストップ」やバトルを行う「ジム」も探す。どこに出現するか分からないポケモンと違い、ポケストップやジムの場所は固定されている。 その場所の選定基準はさまざまだが、多くの場合は博物館や名所旧跡など、オンライン地図サービスで特定された「人々の関心を集める場所」が選ばれる(国防総省本庁舎ペンタゴンのような国家安全保障上の主要施設は、明らかに人々の関心を集める場所の有力候補だ)。 また、位置情報データを埋め込んだ人気スポットの写真から生成されるポケストップもある。最後に、一部のポケストップ候補はクラウドソーシング、つまり不特定多数のプレイヤーの推薦で決まる。 これが防諜当局者の一部に懸念を抱かせた。 もし外国のスパイ組織の推薦で彼らが関心を持つ場所をポケストップにできたとしたら? そしてポケモンが出現する、あるいはポケストップが置かれた安全保障上の重要施設でゲームをプレイする個人のユーザーデータにアクセスできたとしたら? そうなると理論上は、例えば外国のスパイ組織がスマホから音声・動画データの位置情報やスマホそのものの端末情報(米情報機関職員の身元特定につながる)を収集できることになる。 NSAはまさにそれを恐れていた。敵のスパイ組織がポケモンGO関連のスポットを「国益に関わるターゲットに設置し、ゲームをプレイする情報部員をそこに誘導して、彼らのスマホから情報を収集できるようにする」かもしれないと、あるNSAの元職員は言った。 ただし、この職員は「現実に根拠のある話では全くない」とも付け加えた。 情報機関職員の大半は、機密性の高い施設でポケモンGOのようなゲームをプレイすることはもちろん、個人のスマホ使用も望ましくないと認識していたと、元職員は言う。 NSA本部の多くの職員は、「ポケモン禁止令」に不信感を抱いた。「NSAの近くでそんなことをする愚か者がいるわけがない」というのが一般的な反応だったと、別の元NSA職員は振り返る。