NBAデビューした河村勇輝選手が福岡第一高時代に取り組んだ「一番きつい」練習とは…通称「33秒」
バスケットボールの強豪・福岡第一高には、OBたちが「一番きつい」と口をそろえる練習がある。通称「33秒」。縦28メートルのバスケットボールのコートを、途中でバック走を交えながら33秒以内に3往復、それを20本繰り返す。全体練習の最後に行われるから、なおつらいという。 【写真】NBA出場を果たした河村=AP
「効果のほどは分からないけど、気持ちの支えになるでしょう。『俺たちは誰より走ったんだ』って」。井手口孝監督は、過酷なメニューの真意を明かす。疲れた体にむちを打ち、最後の力を振り絞る姿は、圧倒的なスピードとハードワークを誇るチームの根本といえる。
米プロバスケットボール協会(NBA)で日本人4人目のデビューを果たした河村勇輝(23)(グリズリーズ)は、同高の出身。大人と子供のような体格差の中、懸命に走る姿を見て、高校時代、少しも下を向かずに33秒に取り組んでいた河村選手の姿を思い出した。
世界のスターが集う最高峰の舞台は、やはり甘くない。与えられるプレー時間は短く、パスも思うように回ってこないように見える。厳しい環境で常に結果を求められる重圧は想像を絶する。ただ、河村選手なら、それすら糧にしてくれるはずだ。高校時代に「誰よりも走った」という自負も、1メートル72の小さな体を支える力になるに違いない。(緒方裕明)