賃貸大家ユニット・半田兄弟、老朽化アパート再生のカギは「家庭菜園とDIY」! 入居率も30%アップまでの軌跡 福岡県久留米市
H&A brothersが手掛けた232号室「ほんのりサクラ~飾る暮らし~」。
転機となったのは、建物や敷地の特徴や周辺環境を活かしたコミュニティデザインを学ぶビンテージ団地カレッジの開催でした。 「プロにお金を払って管理していくのではなく、コミュニティで維持管理する方向にしないと続かないだろうと。最終的には入居者が自発的に動いてくれて、隣人同士ちょっとしたお世話をし合うようなコミュニティにしたいねと話し合いました。それから、花の種まきのワークショップなど入居者さんを巻き込んだDIYイベントを開催。とても好評で、楽しみながら積極的に参加してくれる人が増えていきました」(啓祐さん)
また、団地の一室に、ビンテージ団地カレッジに参加したメンバーを中心に、久留米の職人さんのシェアオフィス「BASE」が完成しました。 「職人同士が交流して新しいことを始めたり、若い世代の人が職人の仕事に興味を持ってもらえる場をつくろうと。現在参加しているのは13人で、大工、電気、水道、塗装、クロス、鉄工、硝子、造園など幅広い職種の職人が集まっています」(満さん)
「BASEは、住民の食事会の会場にもなっていて、入居者さんとの繋がりが生まれています。そうめん流しのイベントがあったときは、職人さんが竹を割って、そうめん流しの台をつくってくれたことも。入居者さんから相談があった部屋の修理や建物のメンテナンスもBASEの職人さんが対応してくれています。入居者さんも顔見知りの職人さんが工事に入ってくれる安心感があるそうです」(啓祐さん) 2019年には、1階に大きなウッドデッキが完成し、パン屋「江戸やしきパン工房」がオープン。2020年には、カフェ「ツキシマコーヒー」が出店し、入居者や近隣の人の憩いの場になっています。
2016年に発行を開始したニュースレター「コーポ江戸屋敷だより」。現在の編集者は啓祐さん。
「場ありき」ではなく「やりたいこと」を応援する場をつくりたい
アパートから街への活動を続け、関係人口を生み出し、人と人を繋いできたH&A brothers。現在は、移住定住支援など行政や大学と連携した取り組みにも参加。今年は久留米大学そばで空き家を活用した学生シェアハウスの開業準備を進めています。 「ハンダアパートもコーポ江戸屋敷も、自分たちが関わらなくても、つながりが自然に増えていけるようにしたいですね。例えば、入居者に動画クリエイターの方がいて、入居している店舗のプロモーションムービーをつくるなどお互いの仕事に繋がるようなことが起きています。このように自発的な動きがどんどん起こる場所にしたいです」(啓祐さん)