賃貸大家ユニット・半田兄弟、老朽化アパート再生のカギは「家庭菜園とDIY」! 入居率も30%アップまでの軌跡 福岡県久留米市
そのころ、大学で建築を学んだあと、東京のディベロッパーで働いていた満さん。遠隔で啓祐さんの相談に乗っていましたが、ある日、父から連絡が入りました。 「『啓祐が壁を塗っているから止めてほしい』と(笑)。久留米に戻って兄に話を聞くと、お金をかけられない現状がよくわかったんです。家賃が4万円まで落ちていて、何百万円もかけてリフォームしても、せいぜい5万円に上げられるかどうか。資金を全然回収できないんですね。それだったらもう自分たちでやろうって、DIYを手伝うようになりました」(満さん) 満さんは、仕事を辞め、ディベロッパーでのプランニングや設計の経験を活かし、3部屋をリフォーム。啓祐さんは、「アパートの敷地内に家庭菜園をつくってみよう」と思いつきます。 「敷地にあった古い木造アパートを取り壊した空き地がありました。家庭菜園は自分も興味があったし、入居者さんに聞いてみたら、やりたいという子育て世代の方がいました。そこで、土を入れ替えて、区画をつくり、小規模に期間限定のお試しでやってみることにしました」(啓祐さん) そうして、菜園付き賃貸アパートが誕生。啓祐さんが内覧に立会い、入居希望者に説明すると好評で、次第に入居者が増え、家賃もアップし、経営が上向きに。入居率は、約60%から90%に、家賃は4万円から5万円になりました。築古のぼろぼろだった半田ビルとアベニール櫛原の2棟は、「ハンダアパート」として息を吹き返したのです。
パン屋さん誘致や駅前マルシェ開催で、街に開いたアパートへ
「ハンダアパート」の経営が回復したころ、意外にもふたりは、転職を考えていました。「当時は地元への思い入れはそんなに強くなかった」といいます。 「中学・高校と県外の学校に進学したので、地元の友人との繋がりも薄くて。改めて久留米を知ろうと、観光プログラムや街歩きに参加してみると、同世代の人たちが面白いことをやっていることがわかったんです。久留米市内の交流会などにも参加し、久留米絣(がすり)の伝統工芸を活かして着物のプロデュースを行っている人など街で活動する人達と繋がることができました」(啓祐さん)