世界遺産の価値体感 子ども世界自然遺産講座 奄美大島
奄美大島5市町村の連携事業「子ども世界自然遺産講座」の奄美大島研修が12日、鹿児島県奄美市で始まった。島内の中学生約20人が参加し、座学や自然観察ツアーなどを通して身近な自然の魅力や世界に誇る生物多様性の価値を体感した。 研修は地元の子どもたちに世界自然遺産の価値を伝え、環境保全や歴史文化の継承などにつなげてもらうとともに、次世代のリーダーを育成するのが狙い。5市町村でつくる奄美大島自然保護協議会が主催し5年目。 初めに座学があり、環境省奄美群島国立公園管理事務所の興津絵美自然保護官、奄美博物館の平城達哉学芸員が世界自然遺産の目的や奄美大島の特徴などについて講話した。 興津自然保護官は各国の世界遺産を紹介した上で、「奄美は希少種や固有種が多く生息する生態系が評価された」と説明。ロードキル(動物の交通事故死)や外来種による被害、盗採・盗掘、観光による影響といった近年の課題も挙げた。 平城学芸員は写真を見せながら奄美の生き物クイズを展開。クイズを通してそれぞれの特徴や、奄美群島の成り立ち、大陸や周辺の島嶼部との生き物の共通点などを分かりやすく解説した。 座学の後は奄美群島認定エコツアーガイドの案内で、金作原散策や住用三太郎線ナイトツアーに出発。生徒たちは座学で学んだ内容を思い出しながら生き物探しを楽しんだ。奄美大島研修は1泊2日の日程で、13日は奄美市住用町のマングローブ林などを見て回る。11月には2泊3日の日程で屋久島研修があり、12月1日に研修発表会を行う予定。 金作原の森でハブやアマミイシカワガエルなどを見たという龍南中1年の生徒(13)は、「ハブはちょっと怖かったけど、独特の頭の形を観察できてわくわくした。屋久島に行ったらサルやシカを見てみたい。同じ世界遺産の奄美の森との違いも探したい」と話した。
奄美の南海日日新聞