ささやかな平穏は望めない? フリック新監督と18歳新鋭MFが経験したバルセロナの“狂騒” | ラ・リーガ
【欧州・海外サッカー 最新ニュース】スペインメディア『Relevo』は6月12日、バルセロナを取り巻くメディア環境について言及した。 バルセロナは、新シーズンをハンジ・フリック新監督の下で迎える。だが、ドイツ人指揮官はバルセロナというクラブを取り巻く特殊な環境に苦労することになるかもしれない。 2023-2024シーズン、バルセロナでは指揮官の去就をめぐる大きな動きがあった。チームの成績や戦いぶりについて多くの批判を浴びてきたチャビ前監督が、2024年1月にシーズン終了後の退任を発表。しかし、その後にチーム状態が改善し、ジョアン・ラポルタ会長の説得を受けたこともあり、4月には決断を覆して残留することが決定した。しかし、5月24日には一転してチャビ前監督が解任されるという急転直下の事態に。同月16日のアルメリア戦前に行われた会見でクラブの財政状況を憂う発言を残したことが、ラポルタ会長の逆鱗に触れたとのことだった。 バルセロナは“クラブ内政治”に加えて、メディアからの圧力や監視がとりわけ厳しいことで知られている。『Relevo』は、かつてバルセロナに黄金期をもたらしたペップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ指揮官)のコメントを紹介。同指揮官は「バルサのベンチに座ると非常に多くのことを管理しなければならない」と語り、同クラブ内でさまざまな騒音に対処することの難しさを説いた。 「たとえばマンチェスターでは、私たちがすることはすべてクラブの内側にとどまる。だが、バルサではすべてが外側に出ていくんだ」 『Relevo』は「バルセロナではすべてが公表され、すべてが知られている。選手たちがどこのレストランで一家団欒の時間を過ごすのか、ジョアン・ラポルタが誰とどこで何をしているのか、チャビが監督としての最後の数時間に何をしていたのか、クラブ関係者とチャビが会食した際のメニュー内容まで知ることができる」と報道。また、フリック新監督もすでにバルセロナにおける情報リークの即時性を体感したことを伝えた。 同メディアによると、フリック新監督が何日にバルセロナに到着するかという情報は、すぐに報道陣の間で広がっていた模様。さらに、飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイム表示するウェブサイト『Flightradar24』によって、プライベートジェット機が着陸する場所まで暴かれていた。クラブは、窓ガラスにスモークがかかった囮の車を複数台用意し、報道陣のかく乱を試みたという。結局、フリック新監督はホテルで昼食をとっていたところを発見され、写真を撮られることになった。 フリック新監督以外にも、バルセロナのメディアの熱量を感じたのがスウェーデン代表MFルーカス・ベリヴァルだ。18歳の新鋭は、今冬の移籍市場でバルセロナに移籍する可能性が噂されていた。18歳になったその週に、ベリヴァルは家族とともにプライベートジェットでバルセロナに向かった。のちにベリヴァルはトッテナムへの移籍が発表されることになるが、まずはバルセロナのスポーツディレクター(SD)を務めるデコ氏の話を聞きたかったようだ。 デコSDとともに、街全体を見渡せる山の上のレストランに向かったベリヴァル。昼食をとっていると、思いもかけない光景が目に飛び込んできたという。 「食事中にふと外を見たら、150人くらいの人々がレストランの中に入ろうとしていたんだ。レストランを目指して移動していた時も後ろにいて、僕たちは一度駐車場に入って車を乗り換える必要があったんだけど、まだ追いかけてきていたんだ」 「クレイジーな一日だった。去就については、家に帰ってから決断しなければならなかった」 何かと雑音が激しいバルセロナ。仮にチームの成績が思わしくない状態になった時、フリック新監督をめぐる“狂騒”は相当のものになることが想定される。