ついに利下げに踏み切ったFRB、米労働市場への影響は
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月18日、大きな動きを見せた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を50ベーシスポイント(BP、1BP=0.01%)引き下げ、4.75%~5%の範囲にすると決めたのだ。 これは、2020年3月以来となる借入コストの引き下げであり、インフレ対策を目的とした2年以上にわたる積極的な利上げの期間を経て、金融政策が重要な転換局面に至ったことを意味している。 この決定は、FRBがインフレ抑制に自信を深め、一方で、労働市場の下支えに改めて注力しようとする姿勢を示すものだ。 米労働統計局の発表によると、米国の失業率は7月には4.3%にまで上昇し、2021年10月以来最高のレベルに達したが、翌月の8月には4.2%と、比較的安定した数字が報告された。 歴史的水準から見ると、失業率は今でも低いレベルに保たれているものの、最近発表された政府の統計データは、労働市場の「冷え込み」傾向を示唆している。これらの数字に促される形で、9月16日には民主党所属の上院議員3人が、FRBのジェローム・パウエル議長に対し、「労働市場への潜在的リスクを軽減するために、いち早く、より積極的な利下げの実施を検討」するよう求める書簡を送った。 書簡を書いた民主党の上院議員たち、すなわちエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出)、ジョン・ヒッケンルーパー(コロラド州選出)、シェルドン・ホワイトハウス(ロードアイランド州選出)は、「雇用関係の数字は、現状を表すように調整されるまで時間がかかる。ゆえにFRBは前倒しで利下げを行い、危機的状況に落ち込むリスクを回避すべきだ」と主張している。 さらにこの書簡の中で、「労働統計局が2024年8月末に発表した、年次ベンチマーク(基準)改定データの暫定値によると、2024年3月までの12カ月間における米国雇用者数の伸びは、以前の予測よりも81万8000人少なかったことが明らかになった。この数字からは、雇用が減少に転じてはいないものの、その伸びが、以前のデータが示唆していたよりもかなり低下していることを示している。一部の保守的なエコノミストは、雇用の伸びは4月以降、さらに鈍化しているとの見方をとっている」と3人の上院議員は述べている。