「60歳からの資産運用」と「若者の投資」の決定的な違い
個別株式での運用は基本的に難易度が高く、企業決算や景気の変動でハラハラ、ドキドキしやすいもの。たとえ誰もが知る有名企業の株だとしても、決して安心とはいえないので注意が必要です。 腕利きのファンドマネージャー(編集部注/投資信託の運用を指揮する専門家)はいるのか? 結論からいえばたくさんいます。しかし、それを頼って運用してはいけません。 自分で高いリターンを実現するのは無理。だから、腕利きのファンドマネージャーに任せる投資信託やファンドラップがあるのではないか?そう考える人もいらっしゃるでしょう。 しかし残念ながら、プロに任せれば成果を出してくれるというのは幻想です。 ● ファンドマネージャーの 実情を正しく知るべし 確かに、投資信託やファンドラップは、運用会社のファンドマネージャーが運用の判断をしています。商品によっては、有名な運用会社のファンドマネージャーが担当することを強調していることもあります。 ただし、その担当が本当に腕のいいファンドマネージャーかどうかはわかりません。金融業界でファンドマネージャーを名乗る人はたくさんいますが、その「儲ける実力」は極めて評価しづらいというのが実態です。 なぜなら、一般の個人投資家が利用できる商品のファンドマネージャーは、純粋にその人の判断や実力だけで運用しているわけではないからです。 どういうことかというと、多くのファンドマネージャーは、投資信託の目論見書や運用方針に沿って運用することが求められている、ということ。どんな相場でも利益を上げるのではなく、あくまでも目論見書や運用方針の通りに投資する中で最大限効率よく運用することが、ファンドマネージャーの仕事なのです。 市場の平均に合わせる方針のファンドなら、平均が下がればそれに合わせて下がっていてもOK。むしろ平均が下がっているのに逆張りで上がっていたら、運用方針と違うのでNGです。 このようにファンドの目論見書や運用方針からはずれた運用をすると、いくら高いリターンを出しても内部のチェックで問題になります。ファンドマネージャーとはいえ、良いと思った頃合いを勝手に判断して運用をしていいわけではありません。目論見書に沿った範囲内の裁量で運用方針を達成し、最大限の成果を出すことを目標としています。
西崎 努