中日、山本昌の背番号「34」を準永久欠番扱いしなかったことの是非
中日の新入団発表が11日、名古屋市内で行われ、8人のルーキーが背番号のついたユニホームを披露した。驚いたのは、2000本を打って今季限りで引退した和田一浩氏の「5」が、5位の阿部寿樹内野手(26歳、ホンダ)に、同じく今季限りで引退したレジェンド山本昌が32年間つけてきた背番号「34」を準永久欠番扱いすることもなく、いきなりドラフト4位の左腕、福敬登投手(23歳、JR九州)が引き継いだことだ。 背番号に人一倍の思い入れのある落合博満GMの発案らしい背番号の振り分けだろう。 「山本昌を目指したい」という福の言葉から、その目標を具現化してやろうという狙いがあったのだろうが、早くもネット上ではドラファンの間で賛否両論が噴出している。得てしてネット上には、反対意見があふれるものだが、「中日の背番号34だけは大切にして欲しかった」「準永久欠番でも良い」「せめて1位の小笠原ならわかるけど」「ファンの気持ちを汲んで欲しい」「球団の背番号安売り感がハンパない」と、球団の方針に違和感を覚える意見が大半。だが、逆に「背番号は生まれ変われるものだから幸せだ」「山本昌自身もドラフト下位から這い上がってきたからいいと思う」という賛成意見もあった。 背番号には、永久欠番と「ふさわしい選手が出てくるまで空き番にする」という準永久欠番と言われるものがある。現在、日本の永久欠番は13個。加えて、オリックス時代のイチローがつけた「51」のように永久欠番ではないが、実質、空き番にされているものもある。阪神の金本新監督が復活させた「6」も、金本引退後の3年間は、空き番で準永久欠番だった。球団としての歴史は浅いが、楽天時代にマー君がつけていた「18」も準永久欠番扱いとなっている。 その選手の功績や名誉をリスペクトすると同時に、ファンの思い入れを考えた処置で、同時に、ふさわしい選手につけさせないと、その選手が番号負けしてしまうというネガティブな理由もあるのだろう。それほど背番号とは、プロ野球選手にとって大切なものなのだ。 日ハムの中田翔のように背番号をネックレスにして私生活から身につける選手も少なくない。車のナンバープレートを背番号にしている選手もいる。サインには必ず背番号を書き入れて愛着を持つ。 そういう背番号の意義を考えると、200勝や最高年齢ノーヒットノーランなど、32年間の間に数々の記録を打ちたててきたドラゴンズの象徴的な背番号である山本昌の「34」も、準永久欠番扱いとされてもなんら不思議ではない。だが今回、中日は、あっさりと、その重みを無視するかのように、右から左へ移動した。暴挙にも思える。 いろんな人に意見を聞いた。現役時代に背番号「22」をつけていた千葉ロッテの里崎智也氏は、「ファンの思い入れは大事だと思うが、これは球団が決めること。永久欠番や準永久欠番を置いていない球団も少なくないし、それぞれの球団に考え方があると思う。僕も現役時代は“22”への愛着やこだわりがあった。できれば、キャッチャーにつけてもらいたいという気持ちもあるが、引退したら球団にお返しするもので関係はなくなる」という意見。だが、ある球界OBは、「絶対にやっちゃいけないこと。山本昌とファンの気持ちを踏みにじった。落合GMが自らが支配者であることをふりかざしただけ」と、怒りをあらわにしていた。