「ずっと会いたいと思っていた」10年ぶりに連絡の元夫に不信感、シンママ経営者が知る「醜い企み」
【調査結果】多重債務者で逮捕歴あり 目的は金か、乗っ取りか
反社データベース紹介、犯罪歴チェック、金融事故チェック、借金はないか、前職など経歴に虚偽はないか、勤務ぶりはどうであったかの元上司や同僚への聞き取り、そしてあれから現在までどのような生活をしているのか近所への聞き取りなど多岐にわたる調査を行った結果は、真っ黒でした。和久さんは現在、多重債務者であり、まさに借金で首が回らない状態だったのです。さらに過去には詐欺、脅迫の罪で逮捕されていることも判明しました。起訴猶予や執行猶予になると前科はつきませんが、それでも罪を犯したことには違いありません。 さらに梨花さんに話していた10年間の経緯も、すべてが嘘ではないものの、都合よく盛ったり塗り替えられた虚飾まみれのストーリーだったのです。営業は押し売りまがいの宝石販売、講師は詐欺まがいの投資講座、その他、女性のヒモ状態だったことや、脱法ドラッグや大麻の使用など、次々と子の父としても会社の役員としても相応しくない真の姿が暴露されたのです。 梨花さんが自分のデザイン会社の取締役社長と、父親と弟が会長、社長である造園会社の取締役を兼務していることについても、知久さんはどこで調べたのか知っていました。梨花さんの父親が、一昨年、癌で手術を受けたことも。梨花さん自身にも、もちろん実家にも、資産があります。また会社自体、資本もあれば、不動産もあります。和久さんは梨花さんとよりを戻すことは、まさに金のなる木を手に入れることになります。 調査結果が出る前から、梨花さんの気持ちはある程度決まっていたようです。「あの頃とは違うんです。私は親として経営者として、10年間真摯に生きてきました。まだあの頃と同じ場所にいる彼とは差がついてしまいました」と少し悲しそうに笑う梨花さん。これまでの経験や調査結果から和久さんの目的が、「金」、または「乗っ取り」であることは明白です。梨花さんはこの調査結果をもとに、和久さんの接近を禁止し、会社と家族を守るため、相手の出方によっては法的に戦うと決めたといいます。 中小企業庁によると、2023年、中小企業の倒産件数は8,690社、負債額は2兆4,023億円に上りました。そのすべてが経営悪化というわけではなく、経営改善を行わず過去の資産を使い果たす「既往のしわよせ」や、後継者不足、放漫経営など、さまざまな倒産理由があります。そして家族経営が中心となる中小企業においては、今回のように元配偶者ではなくても誰かしら不適切な者が入り込み、資産を食い潰されるケースも珍しくはありません。 不適切者であることに気付かずに採用してしまった社員。その影響は、従業員数が少ない中小企業のほうが甚大です。採用者予定者のバッググランド調査は、中小企業のほうが重要といえるのです。 [参考資料] 法テラス『離婚する場合、子の親権はどうなるのですか。』
角田 博,剱持 琢磨