名古屋・難読地名の旅へ ── 「主税町」「栄生」「猫洞通」あなたは読める?
愛知県名古屋市といえば、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑を輩出し、数々の歴史ドラマが展開されてきた街。16区を歩けば、歴史を感じさせる地名に多く出会えるはずだ。また一方で、名古屋駅の略称をそのまま「名駅(めいえき)」という地名にするなど、名古屋人の合理的な気質が感じられる地名もあり、総じて実に「奥が深い」。今回はそんな街で「えっ?こんな読み方するの?」という「名古屋の難読地名」を紹介する。さて、これらの地名を見てあたなはすぐに読めますか? 難読地名の旅へ出発進行。
「主税町」は税務署のための町ではありません
明治22年10月1日に市制施行した名古屋市は、昭和50年2月に16区となった。まずは区の歴史が古いところから見てみよう。市制施行より存在する中区の「主税町」は「ちからまち」と読む。 名古屋城の築城にともない、清洲から名古屋へ都市を移した「清洲越し」。その際に野呂瀬主税という人物が初めて住んだ地だったことから名付けられたと言われる。ちなみに、主税町に名古屋東税務署があるのは、まったくの偶然だ。 同じく東区にある「橦木町」は「しゅもくちょう」と言う。鐘を打ち鳴らすT字形の棒「撞木(しゅもく)」に地形が近いため、当初は「撞木町」と表記されていたが、後世の誤記のまま定着したという。 名古屋の繁華街、栄。「栄(さかえ)」が付けられた地名は各地で見られるが、西区に「栄生(さこう)」という名鉄の駅がある。元々は「狭所(さこ)」だったのが「栄村(さかえむら)」、「栄生(さこう)」と変わっていった。エリアとしては名古屋駅に近いが、名前は栄エリアを思わせるため、名古屋を知らない人が勝手に“栄近辺にある駅”と思っていると痛い目に会う。 ほかに西区には「香呑町(こうのみちょう)」というお酒好きがそそられそうな地名もある。
猫のワンダーランド? ではない「猫洞通」
閑静な住宅街に洒落た路面店が点在する千種区本山エリア。本山交差点を北西に上がっていくとたどり着くのが「猫洞通」だ。 読み方は「ねこがほらどおり」。愛らしい、猫好きにはたまらない地名だが、決してこの辺りに野良猫が集中しているワケではない。 なお同区にある平和公園の一角には「猫ヶ洞池(ねこがほらいけ)」があり、この付近の山「兼子(かねこ)山」がなまって「ねこ」になった説と、中国の猫堂から名付けた説などが伝わる。