飛行機はどうやって飛ぶ? ANA総研とボーイング「ブルーベース」でSTEM教室
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANA総合研究所は11月10日、ボーイングによる「STEM(ステム)」教育プログラム「ボーイングSTEMプログラム in ジャパン」を、羽田空港近くの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」で開催した。大田区の小学生を招待し、保護者を含む186人が参加した。 【写真】ANAブルーベースで開かれたボーイングのSTEMプログラム STEMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をつなげたもの。実社会での問題発見や解決につなげられるよう、横断的に学ぶ教育モデルとして、世界各国で取り入れられている。ボーイングによる今回のSTEM教育は、科学技術館(千代田区北の丸公園)など各地で開かれ、ANA総研の働きかけで大田区の小学生向けとなるABBでのイベントが組まれた。 10日のプログラムは、シアトル航空博物館(The Museum of Flight)のスタッフが講師を務めた。宇宙服が果たす役割をマシュマロを使って学んだ後、宇宙服を疑似的に製作するワークショップや、鳥や飛行機が空を飛ぶ原理を紹介するサイエンスショー「フライングGIZMOショー」が開かれた。GIZMOショーでは、小型のドローンや空気圧で飛ばすロケットなど、子供たちが実際に空を飛ぶものを体感する場が用意された。 また、ABB内にあるANAのパイロットや客室乗務員らが実際の訓練に使うフルフライトシミュレーターや客室モックアップなどを、参加者が通路から見学した。 サイエンスショーの開演前、ANA総研の森健明副社長が「ANAの飛行機を誰が作ったか知ってますか」と子供たちに問いかけると、「ボーイング!」という声が上がった。ボーイングの民間航空機部門(BCA)で日本など北東アジアの営業トップを務めるダン・シュール副社長は「ボーイングにとって日本は大切なパートナーだ」と述べ、三菱重工業(7011)や川崎重工業(7012)、SUBARU(7270)、東レ(3402)といった、ボーイング機の製造に不可欠な日本企業の役割などを紹介した。 ANAグループとボーイングは、2016年9月24日に福島県郡山市で「ボーイングSTEMプログラム in ふくしま」を開催したが、その後はコロナの影響でボーイングのSTEMプログラム自体が開催を中断していた。ANA総研によると、ボーイング側が再開したことで、今回のイベントを企画したという。 担当したANA総研の藤崎良一地域連携部長は「私が子供のころ、外国人に会う機会は限られていた」と振り返り、子供のころから外国人とのふれあう場として、こうした機会を用意したいと、自身が全日本空輸(ANA/NH)で海外支店長として赴任した際などに感じていたという。ボーイングとの取り組みは、「今後も続けていきたい。将来的には地方都市で開催して、外国人が地方の良さを体感したり、地域の人が外国人とふれ合うきっかけを作りたい」と話していた。
Tadayuki YOSHIKAWA