イチローの一塁コンバートはなし!
イチローが1月にマーリンズに入団した際に、一部メディアで話題になったのが、イチローの一塁コンバート説だった。 だが、キャンプもオープン戦開幕を迎える中盤に突入しようとしている今、その仰天プランは結局、話題先行で非現実的だと言えそうだ。 イチローは、3日のマイアミ大との親善試合は「6番右翼」で先発。きょう5日(日本時間6日)から始まるメジャーとのオープン戦でも外野手としての起用が予定されている。イチローは、黒とオレンジを基調とした新天地マーリンズの球団カラーを元に、今キャンプから「フラッシュ・オレンジ」のグラブを使って、日々外野の守備練習に励んでいるし、一塁の練習は一切していない。
そもそも、この話題はマーリンズが左打ちの控え外野手の獲得を狙ってイチローを候補としていたオフの間に、球団の公式サイト「MLB.COM」で執筆しているジョー・フリサオ記者が、自身のブログの中で「一塁転向はどうか。球団の構想を確認したわけではない」とあくまで私見とした上で、「イチローが一塁に適応できるなら、より出場機会を手にすることができる」と書いたのがきっかけだ。その後、晴れて1月29日に東京で入団会見が行われた際に出席していたマイケル・ヒル強化担当責任者が、「どうなるか注目している」と、否定はしなかったことから、日本でも一部メディアが報じた。 しかし、キャンプを見る限り、そのプランは実現に向けて具体的に動いている様子は全くない。最初に同記事を書いたフリサオ記者も「あの時は、そういう可能性も検討してはどうだろうか、という提案のつもりで書いたけど、実際にはおそらくないと思うよ」と語る。イチローがメジャー通算3000本安打に挑戦しているのは紛れもない事実だし、昨年在籍したヤンキースでは規定打席に到達しなかったのも確かだ。だが、イチローは会見で「数字はもちろん大切なものです。ただそれが全てではないということがはっきり言えると思います」と言った。 イチローは走攻守で一流のプレーをみせながらプロのキャリアを積んできた。救援投手が出尽くして野手が投げることも決して珍しくないメジャーでは、試合展開上、一塁を守る可能性はゼロではないが、一塁兼任で出場機会を模索する考え方は今のイチローには毛頭ないだろう。 昨年の本塁打王、右翼スタントン、中堅オズーナ、左翼イェリッチの才能に溢れた若い外野陣だが、キャンプの守備練習ではイチローのしなやかな動き、レーザービームと呼ばれる送球の美しさが際立つ。レドモンド監督は「彼はキャリアを通じてほぼずっとレギュラーだった。できれば、その状態が継続し、我々のためにもっとヒットを打って欲しい」と語った。 指名打者制でないナ・リーグでは中盤以降、投手のポジションに代打で入るチャンスは多い。指揮官は「先発で起用する、しないに関わらず、毎晩打席に立たせる準備がある」とも言った。 今季、イチローの現在の立場が、たとえ第4の外野手であっても、試合出場と、打席数は、相当増えると予想されていて、あくまで外野手として勝負する決意だ。