大阪・道頓堀「金龍ラーメン」の“しっぽ”撤去…立体看板制作者の口癖は「目立ってナンボ」
「仕方がない。心の中で泣きながら切った」──。 隣接する土地所有者との間で、立体看板の龍の“尾の部分”がはみ出していることが訴訟となっていた大阪・道頓堀の「金龍ラーメン」。撤去の司法判断を受け、道頓堀のシンボル的な存在だった龍のしっぽが23日未明、制作者である中村雅英さんの手によって切断された。 【写真】阪神優勝で盛り上がる道頓堀(2023年) ■2代目が明かした切断までの経緯 取材に駆け付けたメディアに対し、冒頭のように語った中村さんだが、「現場にいたらわかりますが、(父親は)笑いながら言うてましたよ」と言うのは、立体造形看板制作会社「ポップ工芸」2代目社長の中村健一郎氏。切断までの経緯を明かす。 「もともとウチは平面看板を制作する会社やったんですが、今から約30年以上前に取引先から“金龍さんの立体看板を作ってくれ”って頼まれた。ですが、父親は立体看板を作ったことがなかったので、材料の選定にはじまり、相当苦労したと聞いています」 しかし、のちに道頓堀のシンボル的存在となる龍の看板を作ったことで「ウチのも作ってくれ」と徐々に依頼が舞い込むようになり、今では、「道頓堀の立体看板の7、8割はウチが作っています」と健一郎氏が続ける。 「ですから、あの看板は父親にとっても思い入れはあったみたいなんですが、今回の切断にあたって感傷的な気持ちはなかったみたいですね。“まぁ、切らなアカンもんは切らなアカンやろ”って。切断前に、金龍さんの社長さんから“切るだけやったら忍びないな”って相談されて、“ほな、(龍の目に)涙でもつけましょか”って大阪のノリでアイデアを出し合いました」 そして、切断したしっぽの部分は金龍らしく“金”に塗り替えられ、龍の目の下には水色の涙のオブジェが付けられることになった。 「しっぽを切ったからといって、金龍さんがなくなるわけではないですし、今回、これだけ話題になったことは金龍さんにとってもよかったかもしれません。父親の口癖は“目立ってナンボ”なんです。今後も依頼者にとって、ウチの会社が作ったことが話題になるような目立ってナンボの看板を作っていきたいですね」(健一郎氏) これからも道頓堀は百花繚乱の看板でにぎわいそうだ。