2つのユニコーンをグーグルとインテルに売却!希代の起業家を成功に導いた、正しい「失敗」の仕方
■なぜイスラエルは人口あたりの起業家数が多いのか? 失敗への恐怖は文化的なものでもある。失敗が許容されない国では、国民1人あたりの起業家数がほかの国より少ない。 例えば、失敗が許されるイスラエルでは、国民約1400人に対して1社のスタートアップがあるが、ヨーロッパでは2万人に1社だ。シリコンバレーも失敗への恐怖が小さく、人口あたりの起業家数が多い。 失敗への恐怖が大きな文化では、すすんで挑戦する人が少ない。だが、失敗への恐怖が小さな文化では、すすんで挑戦する人の数が増える。
計算式はとてもシンプルだ。失敗への恐怖と変化にともなうコストを足したものより情熱が大きければ、人は起業家への道を選ぶ。 私が育った家では、父にアイデアの話をすると、それがどんなに途方もないアイデアだったとしても、「試しにやってみようか?」と言われた。うまくいかなくても、白黒つけることはなく、ただ「何を学んだ?」と聞かれる。 そうした環境で育ったことで、失敗への恐怖は薄らいだが、それだけではなかった。
それにより自信が高まり、自分を信頼する力がついた。 これを実践するにあたり、忘れてはいけないこと。それは、決して白黒つけないことだ。 もちろん、それだけが起業家を作るわけではない。必要なものはほかにもある──好奇心、知性、何事も当たり前と考えない態度、そしておそらく問題児であることだ(私は高校時代、教師に嫌われていた。授業から追い出された回数は、サボった回数に次いで多かった)。 繰り返す。失敗を恐れることは、すでに失敗なのだ。その旅はそれ以上続かないからだ。スタートアップの起業でも、それ以外のことでも、同じことが言える。
■起業を促すには社会的な取り組みが必要 私は起業家向けにさまざまな講演会やイベントで話をする。ラテンアメリカでは3~4回、こうたずねられた。 「どうしたらスタートアップ国家イスラエルのように、人口あたりのスタートアップの数を増やせますか?」 「何をすべきか」は比較的簡単だが、まず理解すべきなのは、10~20年はかかることと、行動や決断に忍耐を要することだ。結局は、失敗への恐怖を和らげる文化的な変化を体系的に見直すことになる。