【2024衆院選 18歳有権者へ】未来つくる自覚持って(10月21日)
27日投開票の衆院選で、18歳の新有権者は国政選挙で初めて一票を投じる。今の日本は少子高齢化や地方の人口流出が加速し、社会設計の再検討を迫られている。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興は道半ばだ。選挙は郷土の課題を認識し、自らの進路を考える契機となる。政党と候補者の政見、公約にしっかりと耳を傾け、投票先を決めてほしい。 今回の18歳の新有権者は2005(平成17)、2006両年生まれが該当する。小学校低学年の頃から、震災と原発事故の地域への影響と課題を学びながら育ったはずだ。避難生活を経験した世代でもあり、社会問題に対して強い関心を抱いていると察する。国政に自らの意思や考えを示す貴重な機会が巡ってきた。 人口減少は深刻だ。本県をはじめ11県のマイナス幅は、2050年までに30%を超えるとの推計が発表されている。県内33市町村を含む全国744市町村は、将来的に「消滅の可能性がある」との試算もある。多くの新有権者の古里も入っていよう。出生率を引き上げ、Uターンや移住を呼び込む対策の強化は待ったなしの状況にある。
2024(令和6)年度末の普通国債の残高は1105兆円に上ると見込まれている。国内総生産(GDP)の2倍を超える規模で、主要先進国で最も高い水準にある。国の財政状況に海外から疑問符が付けば、円の価値が下がって過度なインフレが起き、国民生活が混乱する懸念もある。こうした「不都合な真実」を各党、各候補者はどう捉え、どのような施策を講じて解決を目指すのか。 公的年金など持続可能な社会保障制度の構築も、若い世代の将来生活に関わる重要なテーマだ。未来の社会をつくるのは自分自身との自覚を持って公約や発言に触れ、投票先を絞り込んでもらいたい。 18歳の衆院選県内投票率は2017年が49・97%で全世代平均を6・72ポイント、2021年が50・98%で7・03ポイントそれぞれ下回っている。同世代の意見をより一層、国政に反映させるには、投票所に足を運ぶ行動が何より大切になる。交流サイト(SNS)を含め、飛び交うさまざまな情報の真偽を見抜き、自らの考えを確立する力も養う機会となるよう願う。(菅野龍太)