立てこもり事件で逮捕、記者への手紙で更生誓うも再び「人質事件」 出所後の孤独 #ニュースその後
刑務所ではどんな姿だったのか。長久保被告と一緒に刑務所での生活を送った男性は「絵に描いたような模範囚だった」と語る。工場の班長を任されるなど、看守や受刑者から一目置かれる存在だったという。 1回目の事件の後、長久保被告は22年4月に出所すると、埼玉県内の建設会社に入社し、住み込みで働いた。その勤務態度は「超」がつくほど真面目だったという。しかし、同僚に過去を知られてしまったことで、入社2か月後には寮を飛び出した。出所時に50万円ほどあった所持金はすぐ底をつき、再び事件を起こしてしまった。 長久保被告が服役中に連絡をとっていた、更生支援を行う団体の元関係者は「いろんな方々と関わりを持とうと思って手紙を出したら、受刑中はそれなりの関係性を作れたけど、社会復帰したら返事が来なくなった。彼とすれば、受刑中の交流は何だったんだろうっていう思いはあった」と、長久保被告が再び事件を起こしたのは、やはり“孤独”が大きな原因だと語る。 11年前、長久保被告が立てこもり事件を起こした信用金庫は、老朽化のため取り壊された。しかし、人質となった女性は今も心の傷を訴えている。 これ以上被害者を出さないために、私たちの社会には何が必要なのだろうか。
▼「社会から取りこぼされる人を救いたい」出所者を雇い続ける運送会社社長
出所者を支援する取り組みは存在する。 去年、窃盗の罪で服役していた男性が出所した際、身元引受人となったのは、運送会社を経営する村上結美社長。出所者の社会復帰を支える“協力雇用主”だ。 男性は、今回が二度目の出所。これまであわせて6年半を刑務所の中で過ごしてきた。社会復帰への第一歩として、村上社長が経営する運送会社で働くことになっている。 再犯と密接にかかわる“孤独”。「人はひとりでは生きていけない」という思いから活動を始めた村上社長だが、うまくいくことばかりではない。「1年に6人採用したとして、3人は残る、3人は辞める。そのくらいの確率ですね」と語るが、それでも社会から取りこぼされる人を救いたいと、入社を希望する受刑者と面接を続けている。 刑務所などに入所する受刑者は、この20年間で半数にまで減少した。しかし、入所が2度以上の再入者の割合は横ばいで、2人に1人は再び犯罪に手を染めていることになる。