昭和・平成に青春を過ごした大人に贈る「胸キュン」ラブストーリー! 日産90周年記念ムービー『NISSAN LOVE STORY』を映画評論家が読み解きました
当時のドライブインシアターは憧れの場所だった
「ローレル ハードトップ 2000GL」が登場する1970年代のドライブインシアターの名前は「レパード」だ。1970年代~1980年代のドライブインシアターは、アメリカ文化に憧れたクルマ乗りの若者たちの間ではまさに憧れだった。周囲にたくさんの人が座る映画館とは違い、恋人と2人だけの空間で好きな映画を観ることができる楽しさ。もちろん男子たちには下心満載だったのだが(笑)。 ドライブインシアターの歴史は1933年のアメリカ・ニュージャージー州カムデンから始まる。アメリカのティーンエイジャーたちを中心にファミリー層、シニア層にも支持されシアターは増加の一途だった。だがその後さまざまなモラルの問題や法律規制により衰退していくことに。
クルマを持つことの魅力とは
閑話休題。2020年代の現代では、かつてのクルマ文化はハッキリいって方向性も嗜好も変化している。大袈裟に言うとクルマは「人生の一部」といっても良いほどの比重を持っていた。それは仕事に必要だったり、デートだったり、家族旅行だったり、人生のすぐ隣に存在していた。 筆者も運転免許証を取得してから、自分のクルマを所持していない時期は現在まで3カ月もない。つねにクルマは移動手段だけでなく、人生を豊かにするために存在しているもの。時にピンチを救ってくれたり、新しい出会いがあったり、他者の援助になったり。個人的な見解だが、昨今高年齢者の運転事故が増えたのは、もちろん年齢による反射の衰えなどもあるだろうが、じつはかつてのようにクルマを自分で点検したり、修理したりすることがなくなったからではないだろうか、と思っている。 技術の進歩革新により近未来、自分で運転することなく目的地まで到着できる完全自動運転化は間違いなく達成できるだろう。そしてそうしたクルマはコンピュータ管理で間違いなくどこも触る(メンテナンスや不具合の調整、チューンアップなど)ことはできないはず。
90周年を迎えた日産が願うこと
昔のことわざに「ダメな子ほど可愛い」という、現在となってはコンプライアンス問題になるようなものがあるが、かつてのクルマもそうだったのではないだろうか。自分で手塩をかけない、かけられないモノに愛情が生まれるだろうか? それはある種の無関心をも生み出す。無関心なモノに愛情は寄り添わない。もしかしたら愛情の欠如が突発事故をも生み出すことに繋がってはいないだろうか? あくまで筆者の個人的見解だが。 日産90周年記念ムービー。ケンとメリーの出会いから人生を紡ぐ様子、そこにはいつもクルマがあった。車種は目的や境遇によって変化し、さまざまなクルマを選び、クルマを楽しみ、クルマを愛している様子が描かれる。 たくさんの人の人生にクルマが寄り添うこと、それを日産の開発スタッフは願っている。何事も全ては可ではないし、不可ではない。それは人生においても同義。だが、過去の経験や思いでを大切に残しながら、未来へと続く道を模索し続けること。それがこのショート・ムービーには描かれているような気がして仕方がない。
永田よしのり
【関連記事】
- 【画像】合計37車種の歴代日産車が登場! 時代を超えて描かれた壮大なラブストーリーを見る(27枚)
- ◎なつかしのダットサン「ブルーバード」を伝説のチャンピオンカラーに!…「BRE TransAM510」カラーに恥じないようにドラテクを磨くのみです
- ◎日産「R33スカイライン」を溺愛して20年以上! 5年前に側突された愛車からパーツを移植して作り上げた「GT-R」は「体力が続く限り手放しません」
- ◎「ハイウェイスター」のボディストライプは憧れだった!…「ラルゴ」からはじまった日産の高級ミニバン路線は「エルグランド」に受け継がれました
- ◎家族のために日産R32「スカイラインGT-R」を手放し30年…再びオーナーに返り咲き、19歳の頃のようにカスタムしては楽しんでます