元カリスマホストが実家の町中華で鍋を振る現在「18歳で反発して家出も」城咲仁が今だからこそ気づいた両親への思い
ありがたいことに「丸鶴」は毎日行列ができるほどお客様がいらっしゃいます。母は親父の信念を守るため、限られた予算のなかで、苦労しつつも無料のコーヒーをつけていました。 最近は食材費が上がってしまったからコーヒーを無料にするのは難しいのですが、チャーハンの価格は950円で頑張っています。「これだったら1000円でお釣りが来るだろう」と親父は言っています。いつもお客様のことを考え、努力を怠らない姿を見ると、頭が下がります。
── 完成した冷凍チャーハンを見て、お父さんは何と言っていましたか? 城咲さん:とても嬉しそうでした。でも、照れ隠しなのか「やっぱり俺が作ったものにはかなわねえな」とも言っていました。典型的な昭和人間だから、感情表現が下手なんですよね。 僕も長い年月を経て、ようやく素直に「親父はすごいな」と思えるようになりました。大人になってから修行したことで、親父との関係も見直せたし、家族の絆が深まったと思います。妻(2021年に結婚したタレントの加島ちかえさん)が一緒に店を手伝ってくれたから、僕も修行に専念できました。
親父とは男同士で似たところが多いから、ぶつかり合うことも多かったです。でも、「城咲仁」という存在の芯の部分を作ってくれたのは親父と母だと思います。信念がしっかりした親父と、それを長年支えてきた母がいてくれたからこそ、いまの僕がいるんだとしみじみと思います。 PROFILE 城咲 仁さん しろさき・じん。タレント、実業家。新宿・歌舞伎町のホストクラブで5年間No.1ホストを務める。カリスマホストとして数多くのテレビ番組に出演。ホスト時代から全国にその名を知られ、2005年タレントに転身した。バラエティ番組などで活躍し、テレビ通販では1日2億円売り上げるトップセールスに。21年、タレントの加島ちかえさんと結婚。22年、実家の町中華「丸鶴」の味を伝える、「丸鶴魂」を立ち上げ、冷凍チャーハンの通信販売も行う。
取材・文/齋田多恵 写真提供/城咲 仁
齋田 多恵