元カリスマホストが実家の町中華で鍋を振る現在「18歳で反発して家出も」城咲仁が今だからこそ気づいた両親への思い
■78歳の父親が毎朝4時起きで仕込みをする姿を見て ── チャーハン作りの修行はいかがでしたか?
城咲さん:「親父はすごい」と改めて尊敬しました。うちの親父はもう78歳なんですが、毎朝4時半に起床して、暗いうちから厨房に行き、ひとりで黙々と米をといでチャーシューを煮ています。 あるとき、「飲食業で一番大事なことは何かわかるか?」と聞かれたんです。僕は「お客様においしいと言っていただくこと」と答えたんですが、「違う」と。「大事なのは仕込みだ」と言われたんです。 「朝起きたら顔を洗って、1日の段取りを考えながら包丁をとぐ。丁寧に食材を切り、丁寧な仕込みができれば、おいしい料理ができる。仕込みのときに適当に具材を切ったり、チャーシューの味つけに妥協したりしていると、どうでもよくなって、鍋を振るのも適当になる。お客様に満足していただける料理は作れないんだ。仕込みでその日の仕事の9割は決まっている」と言われました。
それを聞いてハッとしました。それは料理だけでなく、すべての仕事につながる基礎中の基礎だと思ったんです。やっぱりどんなことも、事前準備をしっかりすることが大事です。チャーハン作りに人生をかけてきた人の言葉の重みを感じました。 親父は一時期、体調を崩して入院していました。病院からは「次に具合が悪くなったら人工呼吸をつけます」と言われるほどだったんですが、そんなときでさえ仕込みには手を抜きませんでした。「命をかけるというのはこういうことだな」と思いました。
■いまだからわかる両親の存在と尊敬の念 ── とても確固とした信念のあるお父さんですね。 城咲さん:本当にその通りです。いつも言われていたのは、「ランチは1000円以内で提供しなさい」ということでした。どういうことかというと、「サラリーマンは1時間の休憩のうち、30分で食事して、コーヒーを飲んでタバコを吸って、休憩して戻りたいんだ。1000円でそれができれば、お客様のランチの時間も充実したものになる」と言うんです。