俳優・間宮祥太朗さん インタビュー あふれる情熱と俯瞰力が導く場所
「サスペンスエンターテインメント」として監督とよく話し合いました
ーー今作で間宮さんは、劇団水滸の看板役者である本多雄一を演じています。「役者が役者を演じていること」も、この作品のフックのひとつですが、実際に演じてみてどんなことを感じましたか。 間宮 今作は「サスペンスエンターテインメント」ということもあったので、ただ台本を読んで、自分が思ったように芝居すればいいだけではなかったんです。ストーリーが入れ子構造のように三層、四層になっているので、そこを踏まえてニュアンスを入れていかなければいけなかった。 役者が動きたいように動いてしまうと、整合性が取れない部分が出てきてしまう可能性もあったので、監督とよく話し合いました。そのあたりが面白くもあり、難しくもあったところですね。 ーー演じた「本多雄一」というキャラクターの役作りについてはいかがですか。 間宮 本多は劇団水滸で主役を張っている、言ってみれば「劇団の顔」という設定でしたが、そのままその勢いに乗ると、かなり圧倒的な存在になってしまう。ただ、台本を読むと、劇団のメンバーにはちょいちょいいじられていたりもするので、例えば「芝居上はよく見えるけれど、台本への理解がどの程度あるのかは実はわからない」みたいな、そんな役者なのかなと思いました。 現実世界でも、感覚派と言われる役者の方がいらっしゃると思うのですが、本多もそういうタイプで、そのあたりがチャーミングさでもあるのかな? と思いました。 ーー間宮さんご自身は、そちら側(感覚派)ではないと……。 間宮 どうでしょう? セリフが違和感なく流れているかどうかを感じたりするところは感覚的かもしれませんが、どちらかというと僕はけっこう頭で考えるほうかもしれないです。今回も監督と、「ここは役者が自然に動くとこうですが、サスペンスだからあえて動かずにいったほうが良いですよね?」など、細かく確認しながら進めていきました。「今のトリック、全然筋が通ってないんじゃないか?」って引っかかったら、そのあと信用して見られないと思うんです。 ーー物語に没頭できなくなってしまうんですね。 間宮 もちろん全部に整合性を持たせることは難しいのですが……。だからこそ、今回監督とかなり話し合いました。 ーーそれは、ご自身が関わる部分ではないところまで気になりますか? 間宮 そうですね。天音と中条さん、純貴とは、過去に『ライチ☆光クラブ』(2016年公開)という映画作品で共演したことがあるんです。当時は若かったこともあり自分のことで精一杯でしたが、今は気になっている部分がありそうな方がいたら、その理由を考えられるようになりました。 それで、「ここをこう変えたらスッといけるんじゃないか」みたいな提案をすることでコミュニケーションを取ったり……そういうところは変わってきたのかなと思います。