【世界卓球】戸上隼輔、無念な思いは釜山に置いていけ。「悔しいけど、負けていられない気持ちも芽生えてきた」
「リードしていてもなかなか大事な局面で1点を取らせてくれない中国の強さを見ていて感じました」
試合でプレーする選手がベンチに座っているのと、応援だけで座る選手では視点も違う。 「ぼくらも中国選手もお互いが成長している。リードしていてもなかなか大事な局面で1点を取らせてくれない中国の強さを見ていて感じました。回転や攻撃の質も以前よりも上がってきている。日本も警戒されていると思うし、それに立ち向かっている日本はすごいなと感じました」 「2年前の中国と対戦した時よりも、自分の両ハンドのドライブは以前と比べられないほど成長している。ただ、大事なところでの1点を取れるのかどうか、それを取れれば勝てる。やってみないとわからない。 王楚欽選手は大事な局面で、張本選手に対してチキータされないようなサービスを出したり、サービスの引き出し、ラリーでも1ゲーム目を取られた後にラリーをさせないような2ゲーム目の戦術の組み立てと転換だった。それは取り入れていきたい」 3月からは戸上の故郷、三重県に本社を置く菓子・食品メーカーの「井村屋」がメインスポンサーになることが決まっている。パリ五輪を前にして本格的なプロ活動が始まっていく。 「井村屋さんにスポンサーになっていただき、オリンピックイヤーで世界でともに羽ばたいていきたい」と語った戸上。 ラケットを持ちたくても持てなかった。チームメイトのプレーをパソコンの画面で見つめた時間。そして、出場できなくてもベンチに座り、応援の声を飛ばしたセンターコートのまぶしさ。戦いたくても戦えなかった釜山をもうすぐ後にする戸上隼輔。 WTTスマッシュなどの国際大会を経て、真夏のパリで日の丸をつけて戦う男。今回の歯がゆさ、悔しさ、その経験をぶつけるのは5カ月後。7月27日のパリ南アリーナ4。 戸上隼輔よ、パリのセンターコートが君を待っているぜ。
今野昇