小池知事、突然のマラソン札幌案に「疑問感じざるを得ない」
東京都の小池百合子知事は18日の定例会見で、国際オリンピック委員会(IOC)が2020年東京五輪のマラソンと競歩の競技会場を札幌市に変更する案を明らかにしたことについて、「なぜ札幌なのか、いつだれがどのように検討してきたのか。開催都市である東京都に協議もなく、札幌という提案が突如なされたことは疑問を感じざるを得ない」と不快感を示した。東京開催への思いは変わらないとも述べ、今月末のIOC調整委員会の場で議論するとした。 【動画】小池知事、五輪マラソンの札幌案に「唐突な発表に驚き」
IOCが決めた「7月・8月開催」前提に招致し対策
マラソンと競歩の競技開催地を東京から札幌に移転するという案は16日夜、突如報じられた。その後の報道で、IOCのバッハ会長は「札幌に移すことを決めた」と述べ、それについて東京大会の組織委員会と合意済みであるとも伝えられた。マラソンは五輪の大会最終日に行われる花形競技であり、ゴールした競技場でそのまま閉会式が実施されるのが通例だ。 この日の定例会見で小池知事は「唐突な発表に驚いている」と切り出した。「2013年のオリンピック・パラリンピック招致委員会にて『8月の東京は温暖で理想的な気候だ』として招致活動が行われた」と招致の経緯を説明しつつ、「ちなみに2013年は東日本も西日本も猛暑で、その上で(IOC総会で)東京開催が決定された」と付け加えた。 IOCはアスリートファーストの観点から、夏の猛暑が懸念される東京に比べ、札幌は気温が5度程度低いことなどを変更理由に挙げている。小池知事は「アスリートファーストという観点は非常に重要で、その通りだと考えている」とした上で、IOCのメディカルコミッティの助言をもとに、これまでに組織委が競技時間の大幅繰り上げを決めたのをはじめ、地元自治体や商店街などとも暑さ対策の取り組みを進めてきたと訴えた。 マラソンコースは既に発表されており、先月にはその五輪コースで日本代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が行われた。その結果、男女2人ずつの計4選手が五輪切符を得ている。小池知事は、東京の気候やコースを想定して五輪本番に向け調整している内定選手や、チケット当選者らへの配慮が必要だとした。 「そもそもIOCが決めている7月から8月の開催を前提に招致して、関係者が準備を進めてきた」と強調。「『東京で』という気持ちに変わりない」とも述べ、今月末に開かれるIOCの調整委員会で「協議を進めていきたい」との意向を示した。ただその場で東京開催を主張するかについては明言しなかった。