維新はもはや「権力側」の党になってしまった…総選挙で国民民主に敗北した「ブレ」「ズレ」「パラドックス」の深層
この総選挙では、国民民主党が躍進した一方で、日本維新の会は伸び悩み、党勢を落としてしまった。両党はともに「社会保障制度の改革」「若者の手取り増」を唱え、現役世代に訴求する戦略で一定の支持を集めたにもかかわらず、なぜ明暗が分かれたのか? 前編記事【総選挙で「国民民主が大躍進」「維新は大阪以外で完敗」ナゼなのか…?ここにきて維新がぶち当たった「限界」の正体】に続いて考察する。 【画像】石破自民の惨敗を予言していた「一枚の写真」
ブレる維新、ブレない国民
東京(≒国政)維新側の熱量や問題意識が大阪維新側のリーダー層に伝わりにくいのは、前述したように大阪と東京の地理的・世代的隔たりも原因ではあるが、それ以上にボトルネックになっている別の要因がある。 すなわち、維新の会は「大阪では与党である」という点だ。 大阪組は、自分たちは与党つまり「体制側」で盤石な勢力を持っているのだから、リベラルな改革政党のようにわざわざ均衡を壊すような動きをして波風をたてる必要などない――そう考えてしまうのである。 「大阪では与党・国政では野党」という二律背反の入れ子構造が、国政政党としての「日本維新の会」の東西の温度差と歩調の不一致を招き、有権者が見たときに「なんか軸がはっきりしなくて、なにがしたいのかよくわからない政党」という印象を与えてしまうのである。 その点、リーダーがはっきり明確に「手取り増やすからね」「社会保障負担減らすからね」とブレずに連呼してやまない国民民主党は、有権者から見たときに維新よりずっと「わかりやすい(信頼感がある)」のだ。かくして、現役世代の味方という点ではまったく同じはずの維新と国民は、その明暗を分けることになってしまった。
維新が「権力側」になった
「大阪では与党なんだから(≒支持層に高齢世代が少なくないのだから)、波風を立てるようなことをあまり声高に言いたくない」――という、与党としての顔を持つがゆえのジレンマも理解できる。党勢としては大阪のほうが「上」なのだから、まだまだ勢力の小さい東京のいうことをいちいち聞いてられないという理屈もわかる。 しかしそれを悪くいえば、かつて「改革政党」として出発したはずの維新が、今ではすっかり現状追認を旨とした「権力側」の表情をするようになったということでもある。旧弊的な政治的膠着を打開してくれる「第三勢力」として維新に期待していた人びとも、いまの維新の(東西の温度差に起因する)歯切れの悪さを見ると落胆してしまう。とくに国政維新に「世代間格差問題にどこよりも豪胆に切り込んでくれる」ことを期待した人びとにとっては、とんだ肩透かしを食らった形だった。「あれ? じつは東京側のスタンドプレーで、維新の会全体の総意ではないってこと?」という不信感を持たれてしまう。 自民党や立憲民主党も全国政党なのだが、党内で歩調を合わせることはそれほど難しくない。だが維新に関しては先述したように「大阪では与党」「地域政党が先、国政政党はあと」という特殊な出自を持っているがゆえに、他党と比べて利害調整・合意形成がきわめて難しい。東京維新に対しても「東京の連中の極端なポリシーに流されたくない」という意見が出てきてしまう。なぜ自分たちが、勢力の小さい東京側の意見を汲まなければならないのかという意識もある(それが間違っているとは言わないが)。
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