<北朝鮮内部>被災者の平壌避難は「ただのショーだ」 復旧遅れと不公平に反発 肖像画よりも家財を持ち出す人々、行方不明者の捜索進まず
◆家屋全壊世帯のみが対象、「苦しいのは皆同じなのに」
両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市に住む取材協力者B氏によると、「平壌避難」に選抜されたのは、家屋が全壊した世帯が対象だという。浸水被害の世帯も厳しい生活を強いられているのにも関わらず、党に支援を求めても、所属先の企業や組織が責任を持つべきだとして、取り合わないという。 「(平壌避難は)見せものだという反発がある。コロナの時から多くの人たちが(ずっと)大変な状態だ。水害被害にあった人たちだけが特別なわけではない」 金正恩氏は、被災住民たちが平壌へ到着した15日、「不慮の災難に見舞われて路頭に迷っても、失った家財や家屋よりわが党への信頼をもっと大事にし、その信念の本色が少しも変わらないわが人民の尊い一員です」と被災住民をねぎらった。しかし、民心離れはすでに進んでいるようだ。 A氏は、今回の水害時での人々の行動を見て変化を感じたとして、次のように述べた。 「これまでは(有事の際は)、真っ先に肖像画を持ち出したけれど、今回はテレビ、太陽光発電機、変圧器などの家財を持ち出す人が多かった。人々の意識が変わっているようだ」