「多くの人からバカじゃねえかと言われましたけど…」“ベイスターズの故郷”山口県下関で「ファンのための豚丼屋」を開いた「ある熱狂的ファン」の話
店に集まり始めた「お宝モノ」のホエールズグッズ
さらには、自分たちが家に保管していたお宝モノの大洋ホエールズグッズを「ここに置いてほしい」と寄贈もしてくれた。店はさながら大洋ホエールズ博物館となり、おそらく世界に7つあるという中部一族の銅像も2つ集まった。すべて集まるとクジラの神様が出てきて下関で公式戦が開催されるんじゃないかとヤングは思っている。 「最初は地下組織ぐらいの感じでいいやとも思っていたんですよ。原価計算とかも間違えていましたし。でも、いろんな人の期待とか、ホエールズやベイスターズへの想いを聞いて、ちゃんとやらないとダメだと、いつの間にか背負ってしまった感じがあります(笑)」 いまでは知名度を上げるため、アルバイトの女の子にインスタグラムのやり方を聞いて、情報を出すようにしているという。 「やっぱりベイスターズ情報が多めですけど。あとは、ランチで豚丼だけでなくトンカツとカツ丼をはじめましたね。でっかいカツ丼ベイスターズとかいってね」 まじめにやっているのである。
「B☆WHALE友の会」も発足
ひとつの結実を見たのは、開店から1年が過ぎた今年の9月。「B☆WHALE」に集まるベイスターズファンたちで観戦会を定期的に行うようになったことだ。その名も「B☆WHALE友の会」。なんて鯨心を掻き立てる響きであるのか。 この友の会は会員50名ほど。発足していきなりのクライマックスシリーズで5連勝となり、最終戦前には、地元のテレビ局でのニュースに観戦会の模様と「これから集まれ」というメッセージが流れるまでになった。 「CSで勝った瞬間、友の会のみなさんと抱き合って喜んだんですよ。今までは下関にいたらひとりでテレビで応援するしかなかった人たちが、こうやって集まってみんなでよろこびを分かち合えることを実感できたのは本当にうれしいし、多くの人からバカじゃねえかと言われましたが、店を作ったことは間違いじゃなかったと心から思えたんです。 ただ、ここからが本番。日本シリーズの相手はこの海の向こうにある最強ソフトバンクホークスです。この関門海峡を隔てたベイスターズとホークスの戦いで、まだ眠っている下関の人たちのベイスターズ愛をもっともっと呼び起こしたいですね」 源平・武蔵小次郎巌流島・幕末と大洋。下関は決闘と革命の聖地である。2連敗といきなり崖っぷちな日本シリーズではあるが、この福岡での決戦、下関の地からも、ベイスターズファンたちが熱い声援を送っている。 B☆WHALE(ビー・ホエール) 〒750-0012 山口県下関市観音崎町12-5 2F 営業時間: 11:30~14:00、17:30~22:00(日曜はランチのみ) フードラストオーダー21:00、ドリンクラストオーダー21:30 月曜定休
(「野次馬ライトスタンド」村瀬秀信 = 文)
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