「宮本恒靖会長」誕生。47歳でW杯プレーヤー初の日本サッカー協会トップに「熱狂がいつも近くにあるような、社会を元気にすることを目指して」
新会長の「ワクワク」
田嶋幸三前会長からは「ミスを恐れずに、自分らしくやってほしい」とエールを受けた。その田嶋前会長も8年の在任期間において、周囲のサポートに深く感謝しながらも「最後は孤独に決断しなければならなかった」と吐露した。今度は宮本会長がその厳しさを味わうことになる。ガンバ大阪や日本代表でキャプテンを務めてきた経験を生かして、新しいリーダーはどう立ち向かっていくのか。 「その決断の重みというものは、会長として仕事をこなしていく中で初めて理解できるものだという風に思います。例えば監督の立場で決断する際には、チームが勝つためのところからの逆算でした。では、会長という立場としては、どちらが社会のために良くなるのか、そんなものをこれから自分の中で見つけていかなければならない」 公開されているマニフェストの中では、岡田武史副会長と対談していて、「みんながワクワクするようなJFAにしてくださいよ」と注文がついた。改めて、正式に会長という立場に就任したいま、その「ワクワク」をどんな形でサッカーファミリーに伝えていくつもりだろうか。 「ワールドカップを日本で開催しましょう、というときに、そこへの取り組みや、みんなを巻き込んでいくというのは2002年以降、なかなかなかったようなところだと思います。経済状況などいろいろありますが、そういうものをみんなで語ってやっていけたらと思っています」 その一つの発露が、2031年の女子ワールドカップ招致ということになる。さらには、2005年に日本協会が発表した「JFA2005年宣言」の中にある「2050年にワールドカップを日本で開催し、日本代表が優勝チームになる」という「JFAの約束」に向けて、引き継いだものを失わずにさらに積み上げていくことが、新会長の仕事になる。 「熱狂がいつも近くにあるような、社会を元気にすることをこれからも目指していきたい」 カタール・ワールドカップでドイツやスペインを破って味わった興奮を、何度も味わえるように。究極の目標はそこになる。 「これは一人ではできません。いろいろな人を巻き込んでいきたい」 サッカーファミリーすべての人が、そこに当てはまるだろう。 ◎Profile 日本サッカー協会第15代会長 宮本恒靖(みやもと・つねやす) 1977年2月7日生まれ、大阪府出身 ●選手歴/ガンバ大阪ユース(92~95年)-ガンバ大阪(95~06年)-レッドブル・ザルツブルク(オーストリア/07~09年)-ヴィッセル神戸(09~11年) ●主な代表歴/93年U-17日本代表(U-17世界選手権 ベスト8)、97年U-20日本代表(ワールドユース選手権 ベスト 8)、00年U-23日本代表(シドニー・オリンピック ベスト16)、00~06年日本代表(日韓ワールドカップ ベスト 16、中国アジアカップ 優勝、ドイツ・ワールドカップ 出場) ●主な出場記録/ J1通算337試合出場8得点、国際A マッチ通算71試合出場3得点 ●指導歴/ガンバ大阪ジュニアユース U-13 コーチ(15年2月~12月)-ガンバ大阪ユース監督(16年2月~12月)-ガンバ大阪 U-23 監督(17年2月~18年7月)-ガンバ大阪監督(18年7月~21年5月) ●その他/同志社大学経済学部卒業、FIFAマスター修士課程修了、公益財団法人日本サッカー協会専務理事
サッカーマガジンWeb編集部