“マルジェラ期”の再解釈で「MM6」に感涙、潔い「マックスマーラ」に拍手も、終盤まさかの大失態 2025年春夏ミラノコレ日記Vol.3
ここからは別行動。私は「トム フォード(TOM FORD)」の展示会です。ピーター・ホーキングス(Peter Hawkings)の退任と、ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)の就任とニュースが続きましたが、今回は2人の狭間のシーズンゆえデザインチームがクリエイションを担当。流れるような素材を使って快適さを担保しながら、1960~70年代のグラマラスなムードを描きます。多用したのは、ジャージーやニット。もちろん、そこにはルレックス(金属糸)を配したり、スケスケに編み上げたりと、セクシー全開です。カラーパレットは、シャーベットのようなピンク、ピスタチオ、アイスブルー、ミントグリーンなど。そこにレジメンタルジャケットをスパイスとして加えました。
ジュエラーの「ダミアーニ(DAMIANI)」は、帽子ブランドの「ボルサリーノ(BORSALINO)」とコラボ。「ダミアーニ」の創業100周年プロジェクトの1つです。「ボルサリーノ」のフェルトハットやベースボールキャップのツバや裏側からダイヤモンドなどのネックレスやイヤリングをあしらった一点モノは、3万5000~9万5000ユーロ。およそ560万~1520万円です!ジュエリーは取り外して、普通にネックレスやラペルピンとしても使えるそうですよ。
「セラピアン(SERAPIAN)」がすごく良かったです。銀座にオープンした旗艦店のウィンドーも手掛けるベネチア人アーティストのロレンツォ・ヴィットゥーリ(Lorenzo Vitturi)によるムラーノガラスのインスタレーションを使った空間には、“シークレット”や“アニ”など、既存のバッグが並びます。でもムラーノガラスのオブジェが透明なガラスと色付きガラスのコンビネーションであるように、「セラピアン」のバッグもバイカラーだったり、一部にガラス刺繍やビーズを取り入れていたり。定番のシーズナルな見せ方と、「顧客は建築家やアートコレクターら総じて自分のテイストが明確で洗練されたものの美学を理解している人たち」と話すマキシム・ボヘ(Maxime Bohe)最高経営責任者(CEO)の描きたい世界が見事に両立しています。雑材含めて複数の素材を織り込んでいるスペシャルピース級のトートも素敵でした。