「最強の酷暑」がやってくる…じつは熱中症になったら「絶対に飲んではいけない3つの身近な飲み物」
熱中症になったときに飲んではいけない飲み物
それでも熱中症になったら、とにかく体を冷やすことだ。一番いいのは水風呂、入れられない時はわきの下や鼠径部など太い動脈の通る部分を冷やす。そして水分補給なのだが、気をつけることがある。 「熱中症になった時に飲んじゃいけない、3つの飲み物があります」 1つ目はアルコール。これは当たり前だ。次に意外なのだが、水。あくまで熱中症になった場合だが、塩分が足りないために熱中症になる場合がある。そこで大量の水だけを一気に飲むと、さらに体内の塩分が薄くなり、水中毒=体内の塩分量が下がって症状が悪化する低ナトリウム血症になることも。緊急事態とはいえ、水だけを大量に飲ませることは避けよう。 「最後に牛乳です」 牛乳はタンパク質が多いため、体内で熱を作り出す。牛乳を飲むと体を冷やすどころか、体温を上げてしまう。熱中症予防にはぴったりだが、熱中症になった時には牛乳を飲ませてはいけない。 「よくお風呂上がりに冷たい牛乳を飲みますよね? 体が冷やしそうですが、あれは湯冷めしないためだと思います。牛乳が熱を作るから、昔から風呂上りには冷たい牛乳を飲むんですよ」
夏場に脳梗塞が多いわけ
中高年は熱中症とともに脳梗塞にも気をつけたい。 「脱水で一番怖いのは脳梗塞なんです。夏場の脳梗塞って、冬と同じで多いんですね。水分不足で血流が悪くなる。同じように心筋梗塞も増えます。糖尿病の患者さんも気を付けた方がいいですね。今の糖尿病の薬には、脱水にさせる薬が結構あるんですね。糖尿病の方には、水分がうまくコントロールできていない人が多い」 糖尿病の薬がダイエットに良いというのは、血糖値の上昇を抑えることと脱水作用があるため。糖尿病の薬を飲んでいると、それだけ暑熱環境に弱いと考えた方がいい。 「太っている人は体内に水分が多く、熱中症になりにくいと思われている方がいるようですが、逆です。脂肪にはまったく水分はありません。脂肪とか贅肉にお水がたまっているわけではない。太っている人は脂肪が多い分、筋肉が少ない。肌肉が保水するので、贅肉がいくら多くても体内の水分は少ないことになります」 ラグビーの選手のように筋肉質でがっちりした人が熱中症になりにくいわけだ。 「私は暑熱環境をずっと見ていますが、同じ暑熱環境下において熱中症になりやすいかなりにくいかは、筋肉量に大きく依存します。結局今って座り仕事が多いので、みなさんどうしても運動量が減ってしまう。意識して筋肉を守ってください」 筋肉は熱中症も解決するのだ。 ---------- 谷口英喜 済生会横浜市東部病院患者支援センター長、医学博士、麻酔科医師 熱中症・脱水症に関する報道・解説でTV・ラジオに300回以上出演 ----------
川口 友万(サイエンスライター)