和食好きにも、ビストロ好きにも刺さる! 「Neki」西シェフとバーテンダー野村氏がタッグを組んだ大人ウケ◎な居酒屋
添えてあるのは静岡県の北山農園をはじめ、農家から直送してもらっている無農薬野菜だ。この日はゆでて塩で味を調えたスナップエンドウ、プチヴェール、黒キャベツの新芽、カブ、紅芯大根がお皿を彩る。そして最後に鰹だしとみりん、醤油を合わせた八方だしを使った焦がし昆布オイルをたらし、アリッサムという辛さのあるエディブルフラワーで春らしさを添えた。
焦がし昆布オイルを回しかけることにより、焼き浸しや煮浸しよりも食材がベタッとせず、かますの香ばしい皮目の食感が味わえるのもうれしい。とはいえ仕立ては割烹料理のような繊細さで、力強い野菜の味わいも生かした味付けだ。
魚料理に合わせたいのが、同じくタップカクテルの「ほうじ茶割り」。スモーキーなメスカルとほうじ茶、麦焼酎の山猿、隠し味にアマレットを加えたカクテルで、黒糖やキャラメル、ラム酒のようなほろ苦く香ばしい甘さが印象的だ。
「ノッピー」をグビッと飲みつつ、パンチのある海鮮焼きそばで〆
「Uké」のすごさは、繊細な和食から、お酒がグイグイ進むパンチの利いた酒場メニューまで、バランスよくそろうところにある。「アメリケーヌ焼きそば」は、お酒を飲ませに来る食べ応えのある〆料理として完成度が高い。
都内の製麺所から仕入れた生の中華麺を茹でて、水で洗ってから、中華鍋に入れて強火でしっかり麺の周りを香ばしくコーティングする。その後中火に戻し、ネギとエビやイカ、貝などのシーフードを加え、アメリケーヌソースを合わせて炒める。仕上げに小口ネギ、青のりの代わりに乾燥したケールと海苔とゴマの粉末をふりかけて完成だ。
アメリケーヌソースとは、エビの殻を炒めて、香味野菜などと煮て作るフランス料理のソースのこと。同店のアメリケーヌソースは、エビのだしと香味野菜に加え、ウスターソースや八角をアクセントに入れて煮詰めたオリジナルだ。平打ちのような太麺の焼きそばはアルデンテで、噛みごたえがあり、麺によく絡んだオリエンタルな趣のアメリケーヌソースの味わいが咀嚼するたびに口の中に広がる。パンチのある居酒屋メシを求める人も、味わい深いビストロメシを求める人も満足できる一品だ。