金型使わず車体パネル成形、日産「対向式ダイレス成形」精度をプレス並みに
日産自動車は金型を使用せずにボディーパネルを成形する技術「対向式ダイレス成形」の成形精度について、2020年代後半にもプレス成形と同等レベルに引き上げる。ファナック製ロボットを複数台導入して従来のロボットから置き換えたほか、加工条件を最適化するため品質工学の手法を取り入れた。寸法精度の向上により、補修部品やカスタマイズ部品など適用範囲の拡大を検討していく。 【写真】日産自動車の「対向式ダイレス成形」 対向式ダイレス成形は棒状の成形工具を取り付けたロボットを対向して配置。それぞれが押し型と受け型の関係となり、2台のロボットを制御して工具を押しつけながら薄鋼板を徐々に変形させて成形(インクリメンタル成形)することで、複雑な形状の成形ができる。 プレス成形で必要な金型の製作が不要なため、開発費用や開発時間を抑制できるのが特徴。多品種少量生産の短納期化や部品の低価格化が可能となる。一方でプレス成形と比べて寸法精度や効率化が課題だった。 今回、新規のロボットを導入し、品質工学の手法を活用しながら、成形工具の形状や工具を動かす速度、経路(パス)など各種条件を最適化して成形精度を向上する。プレス成形と比べて課題となる加工の効率化にもつなげる。なお、ロボットの投資額などは公表をしていない。 日産は2019年に対向式ダイレス成形の技術を開発し、実用化した。現在は生産が終了した旧型車のリアパネルなど補修部品の成形に適用している。