『虎に翼』寅子モデル・三淵嘉子 最高峰の女子高で<卒業生総代>に。声やダンスが絶賛されて演劇では主役を…生涯友情が続いた友人との日々
24年4月より放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。伊藤沙莉さん演じる主人公・猪爪寅子のモデルは、日本初の女性弁護士・三淵嘉子さんです。先駆者であり続けた彼女が人生を賭けて成し遂げようとしたこととは?当連載にて東京理科大学・神野潔先生がその生涯を辿ります。先生いわく「嘉子は現在のお茶の水女子大附属高校に入学した」そうで――。 【書影】 女性であるという自覚より人間であるという自覚の下に!『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』 * * * * * * * ◆東京女高師附属高女に進学 1927(昭和2)年、嘉子は東京女子高等師範学校附属高等女学校(現在のお茶の水女子大附属高校)に入学しました。 東京女子高等師範学校は、1874(明治7)年に設立された東京女子師範学校をルーツとする、女子の中等教員養成機関の一つです。 その附属高等女学校は1882年に作られ、嘉子が入学した頃は受験倍率が20倍とも言われて、学力の高い女子にとって憧れの(最高峰の)学校の一つでした。 嘉子は、港区笄町の自宅から、市電・省線(国電)と乗り換えて、お茶の水まで通っていました。
◆4人の友人 入学してすぐにできた4人の友人とは、東京女高師附属高女時代はいつでもどこへ行くにも一緒で、その友情は生涯続きました。 後に嘉子が裁判官になって名古屋で働いていた頃には、4人が名古屋を訪れたり、全員で大阪万博に出かけたり、軽井沢の別荘で語り明かしたりもしたそうです。 嘉子は音楽や美術などにも才能を示して、東京女高師附属高女1年の時には、卒業生を送る謝恩会の演劇で、「青い鳥」のチルチル役を演じました(「青い鳥」とは、フランスの劇作家モーリス・メーテルリンクが1908年に発表した童話劇で、貧しい木こりの子であるチルチルとミチルの兄妹が主人公です。1920年代から日本でも上演されるようになっていました)。 嘉子のセリフは澄んだ声でよく通り、その演技は、友人たちの中でいつまでも思い出されて盛り上がるほどの出来栄えでした。 嘉子はすっかり上級生たちのアイドルとなり、また、その後も何かの機会に演劇をやる時には、主役を演じることがありました。
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